とりぶみ
実験小説の書評&実践
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    大塚晩霜
    原作/草稿担当。

    大塚晩霜
    推敲/編集担当。

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    昼寝担当。



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BNSラジオ 23:07~24:00   (2009/09/01)
Ver.1.01【35枚】
放送中学:立石さとしの日本語講座(後半部分)
(ラジオ番組が出来るまで:工程3:執筆~活字離れ/人類の三大発明~ダブレット/工程4:録音~一度は声に出してみたい日本語/迷惑メールに返信④)

【クイックリンク】
ラジオ番組が出来るまで:工程3:執筆~活字離れ
人類の三大発明~ダブレット
工程4:録音~一度は声に出してみたい日本語①
一度は声に出してみたい日本語②
迷惑メールに返信④





(CM)
 『手紙のお返事用例集』拷断社から新発売。相手が「クリスマスですね!」という手紙を書いているのに、「夏まっさかり。マサカリかついだ金太の大冒険」なんて関係ない返事をするのは御法度。もし「クリスマスですね!」という手紙に返事を書くのなら「クリトリトマス試験紙!」くらい行ってやれ。どーんと行ってやれ。
 拷断社から新発売『手紙のお返事用例集』です。



【工程3:執筆】
 書きたい事、書かねばならない事、書けと脅迫されている事、そういうネタが出来て、退屈で、体調も万全なら企画書を書き始めます。風邪を引いていたり人工呼吸器が手放せない状態だったりおしっこをガマンしていたりする場合は無理に書かなくて結構です。
 さあ書き始めます。一人さみしくシコシコと文章を書いているのはいかにも心細いので何か音楽をかけます。思わず踊ってしまいたくなるような愉快な曲は気が散って執筆に手間取ってしまいますので極力避けます。今回はマイケル・ジャクソンをセレクト。ポゥ!アォ!
(必要があれば工程1に立ち返って国語力を補強します)
(必要があれば小学校からやり直します)
(必要があればトイレットペーパーの買い出しを忘れずに)
 なお、本放送に向けて音楽トラックをストックしておくのも重要な下ごしらえのひとつです。なぜなら、文章で人を笑わせるのは至難の業。ビバリーヒルズの大邸宅で生まれて何不自由なく育った私は日本語が下手なのでよけいに不利です。私のカタコトな日本語を愚弄して、「中国人にしては日本語うまいね」なんて言うイタリア人がいるから困ったものです。
 そこで、文章以外で人々を楽しませる技術が要求されます。その方法はいたってシンプル、どっかの誰かが作った曲を無断で流してしまえばいいのです。
 ただし、有名な歌を持ってくるとたちまちパクリだ盗作だと叱られるおそれがありますので、文句を言わない人──言葉の通じない人から盗んで来きます。著作権は親告罪です。パクられた人がわめかないと罪にならない。仮に訴えられたとしてもすぐゴメンナサイすれば損害賠償を請求される事はまずありません。
 盗用の仕方ですが、手始めにレコード屋に足を運びましょう。売れてなさそうなCDを物色します。ある程度決まったら一息にかすめ取りましょう。ガーッとドラムバッグに流し込みます。ふりむいてはいけません、レジの前を通過して一目散に退店して下さい。そうして溜め込んだCDは、ネタに困った時や喋るのが面倒な時にすぐ放出してもいいですし、しばらく寝かしておいてもいいです。私は後者をおすすめします。音楽はただ流すだけでなく関連性のある番組内容と組み合わせるのがベストですのでどんな内容のトークにも対応できるよう色々なCDをたくさんストックしておきましょう。
 さて、企画書を書き上げても読み直しは致しません。しなくてよろしい。どうせバカが書いたクソ文章ですから、いくら添削を頑張っても完成度は上がりません。時間のムダです。手間暇をかけてクソ企画書をちまちま直すより、その手間暇を抜本的にバカを治療する時間に充てた方がよっぽど効率的です。書けたらとりあえず提出してしまいます。番組担当のDJに原稿を渡してしまいましょう。
 無事おのれのつまらない企画を臆面もなく公開したら、次のステップに進みましょう。打ち合わせの最中に誤字を発見して後悔します。
 たいしてひどくない誤字には目をつぶりますが、あまりにもひどい誤字の場合は隠蔽工作を施します。このラジオ局に勤務している人間から何か誤りを指摘されるっていうのは、絶望的に恥ずかしい事ですので。
 ただ、BNSラジオのDJたちはどうせ原稿をまともに読めないでしょうし、どうせ言い間違えたり噛んだり吃ったりするでしょうから、さほど気に病まなくて結構です。所詮ちっぽけな脳みそ、どうせ気付きません。
 昨今、若者の活字離れが社会問題となっているようです。「活字」とは、活版印刷の事です。「活版印刷」とは、浮世絵やイモ判と同じ原理の印字法です。「浮世絵やイモ判と同じ原理の印字法」とは、つまり原始的です。「原始的」はワイルドです。「ワイルド」は悪いドー。女の子はちょっと不良っぽい男の子が好きって本当ですか?じゃあ私も不良ぶってタバコを吹かし…ウッ、ゲホゴホッ!不慮ウブってしまいました。オトナの味はビターですね。
 えー、思いがけず、いや思いがけてましたが、脱線して申し訳ない。リスナーのみなさんも活字離れですか。活字離れを推進していますか。3K──危険(思想が)・汚い(手口が)・キツイ(体臭が)の活っちゃんに別れを告げ、高学歴高収入高身長のミスターデジタルデータ(英語圏出身)とステキな出会い──そうそれはまるで映画のワンシーンのようでして、一人さみしく駅前のバーで飲んでいたらマスターが「あちらのお客様からです」とグラスを差し出してきたのでふとカウンターの向こうを見るとニコリと微笑むハンサムさんの銀歯を見て思い出した今もこの胸にコダマするあの熱い青春の日々・部員二名の吹奏楽部でテンデ合奏にならないんだけどもう一人の部員は当時気になっていたS君で放課後の部室二人切りになったとき頬を赤らめながら「おまえ、スルメは好きか。俺、スルメがウマイ駄菓子屋知ってンだ」とデートに誘ってくれた彼よ間違いないワ、きっとあの銀歯はスルメを食べておっかいたのよ…そんな出会いをしましたかと尋問しています。
 活字離れだろうが何だろうが、別にどうでもいいです。パソコンや携帯電話などのマシンが私たちに代わってひらがなを漢字に変換し、音声認識で文章を入力してくれるので。日本の国語力は有史始まって以来のたくましい扇情力。国語が苦手な私でさえ、苦もなく企画書をでっち上げられます。それもこれも、サイバー機器の進化のたまものです。
 そしてこんにち、音声入力は脳波入力へと進歩しましたこんにちわ。私は特殊技術「脳波入力」によって企画書や放送台本を構築しています。サイバーなグローブを利き腕に装着しまして、それをゆらゆらさせたり、何か念じたりするのです。
(それで脳波が届くの?おまえ、腕に脳があるの?)
 すみませんウソつきました…。ホントはカルト教団よろしくヘッドギアも装着します…。「なんだかコワイ」って思われるのがイヤで!つい!!
 といってもそのヘッドギアは帽子みたいなシロモノで、かぶっていてもあんまり怪しくは見えません。いろいろヴァリエーションもあって、ジャミロクァイ風のデッカいヘッドギアをする人もいれば、いかにもなアンテナ付きのヘッドギアをする人もいます。私はミッキーマウスの耳っぽいヘッドギアを愛用しています。「っぽい」と言ったのは、それがパチモノだからです。
 脳波入力は文章をでっち上げるのは早いことは早いかも知れませんが、脳内のエヘエヘ妄言をダイレクトにアウトプットしますのでどうしても冗長で無駄毛だらけの文章となってしまいます。支離滅裂・尻決裂(←さっそく出た!)で、読む側としてはとても不愉快かと思います。BNSラジオのDJ陣にはこの場をお借りしてお詫び申し上げます。


(CM)
 世紀の大発明、クールでサイバーでサイババな脳波入力執筆装置「黒頭巾ちゃん」。開発当初は誤入力の嵐で困ったちゃんでしたが、クリクリいじくって現在の仕様に落ちつきました。わがままっ娘だったのでなかなか調教できず、そのせいで発売に遅れが生じました。ビッチ!お仕置きが必要です。みなさんのスーパーテクニックでアヘアへ言わせてやって下さい。我が社が開発したわけではなく出来合の物なのですが、どうぞ溺愛なさって下さい。これさえ装着すれば、極めて不真面目不愉快不謹慎不感症不二雄藤子不二子峰な精神状態でも、付け焼き刃で間に合わせたイーカゲンな文章が見る見るうちに書き上がる!脳波入力の「黒頭巾ちゃん」、矢嶋工務店から新発売。



 脳波入力はすごい発明です。かなりの。だけど長い人類の歴史から見ればちっぽけな進化に過ぎません。人類の文化を大きく飛躍させる道具はこれまでにも色々と発明されてきました。
 「人類の三大発明」を挙げるとすれば、あなたは何を挙げますか?
 私はこのようなアンケートを著名人各位に強制した(脳内で)。その集計結果は以下の通りとなった。一位から三位は一番最後に紹介します。まずは四位から。
 <四位:自動車>出ました。文明の利器。現代人なら誰もが恩恵を受けていますもんね。獲得票数二五三六。中には「便利だが、公害も産み出した」などのエコロジカルな意見も。「公害」にも一票入れて置きましょうね。
 <五位:電球>またもや出ました文明の利器。トマス・エディスンの大発明。世の夜を明るく照らす、ナイスなやつ。日本のうちわに使用されている竹を部品に試してみて完成にこぎ着けたのはあまりにも有名な話。
 <六位:歌>「音楽」という回答もコレに含めました。鳥のナチュラルインプロヴィゼーションには劣りますが、素晴らしい芸術に間違いない。合唱団のコーラスワークとか、泣かせます。涙が落ちます。不幸な気分になります。
 <七位:貨幣制度>おお、なるほど。世の中を動かしているのは確かに経済ですな。発明と呼んでも差し支えありますまい。ノーベル経済学賞とかもありますよね。あと、ミクロとかマグロとか中落ちとか、なんだかスシちっくな匂いもぬぐえません。ですから、「スシ」という回答(一〇四三票)はコレに含めました。
 <八位:麻雀>うん、奥の深い娯楽だね。でも、「三大発明」にノミネートできるかっつったら違う気もするけど、雀たちにとってはまさに麻薬。チュンチュン。
 <九位:神>神を発明品扱いするとは、現代人らしいドライな感覚で面白い。ちなみに、私は神の存在を信じてます。プロレスの神様とか、実在しますよ。フロリダでトレーニングしてます。
 <十位:洗濯機>主婦の方々から圧倒的評価を得、十位に滑り込みランクイン。獲得票数二五三〇です。
 さて、お待ちかね三役の発表です。
 <一位:火>
 <二位:電気>
 <三位:文字>
 これらは幅広い層から熱烈な支持を得ました。
 まず、一位の「火」。これを使えるように成った事は、人類が猿から進化できた要素の一つですね。暖を取る・燃やすのはもちろん、料理や工業、タバコの点火・根性焼き、放火、何にだって使えます。ちょっと危険な道具、それが火。一位にノミネートされても異存ありません。人類の歴史、その出発点です。
 次に、二位の「電気」ですが、これが無ければ五位も十位も動きません。近代文明を形作ったウいヤツです。電気が無ければBNSラジオも動きませんから、よく感謝するように。とりあえず、コンセントに三拝しておきましょう。
 そして、三位の「文字」。これは、わたくしヒイキにしたい。なぜなら、これが大好きですから。車好きなら自動車、電気整備士なら電球に思い入れが強くなるのは当たり前です。それと同じです。
 火・電気が「発明」というより「発見」に近いのに対し、文字は純然たる発明品です。掴み所のない音声を記録する、シンプルにしてハイテクなシステムです。
 「言葉」に票を投ずる人も居ましたが、文字として総括しました。イルカは超音波でコミュニケーションを取ります。「それは、彼ら独自の言葉である」と言えるでしょう。ですから、単に「言葉」に票を投ずるよりも、「文字」を敬う方がずっと人間らしいのです。
 惜しくも三位(一位との差、およそ二票)ですが、わたしはこの「文字」こそを人類最大の発明と断じたい。そして、無限の可能性を秘めたこの道具を、もっと上手に使いこなせるように成りたい──
 そこでちょいと文章力を磨くためダブレットに挑戦ですわい。ダブレットとは『不思議の国のアリス』で有名なルイス・キャロルが作り出した言葉遊びである。単語のつづりを一字ずつ変えて行き、目標となる単語になるべく手短に変形させるというもの。
 よーし、「イラク」を「平和」にしてみましょう。とっても偽善的だけど、届けオイラの魔法の言葉!スタート。
 いらく(イラク)→ いらい(依頼)→ けらい(家来)→ けいい(経緯)→ けいき(景気)→ へいき(兵器)→ へいわ(平和)
 達成!なんだかとっても深い事情のありそうな治安改善☆
 もういっちょ。「ブッシュ」を「解任」してみよう。便宜上、「っ」「ゅ」は「つ」「ゆ」とします。
 ぶつしゆ(ブッシュ)再選おめでとう!→ ぶつしん(仏心)3度まで→ かつしん(勝新)太郎→ かいしん(改心)懺悔しろ→ かいにん(解任)目標達成!→ かいさん(解散)議会も!→ かいさつ(改札)駅で→ あいさつ(ヨー、ブッシュ!)→ あんさつ(暗殺)
 勢い余って殺してしまいました。


(CM)
 カラーひよこを探しています。
 縁日の屋台で「これ以上大きくならないよ」と保証されて買ったカラーひよこのピッキちゃんが、何者かの手によって盗まれました。犯人はピッキちゃんのかわりにニワトリを置いていきました。
 犯人よ。これを聴いていたら、恥じるがいい。うまくすり替えたつもりだろうが、バレるに決まってるだろ!あんまり腹が立ったから、おまえが用意した替え玉はしこたま殴って、締め殺して、焼き鳥にして食っちまったよ、ざまーみろ!
 カラーひよこのピッキちゃんを探しています。色は紫です。おとなしい性格で、愛嬌もあります。私たちにとっては家族同然の存在ですから、発見された方はぜひご一報下さい。



【工程4:録音】
 さて、着想と執筆を経て録音をするわけですが、それはおしゃべりの専門家であるDJに任せます。ディレクターの私はお役ご免、指をくわえて録音現場をただ見守ります。ですからこの「工程4:録音」について話すことは何もありません。
 えー「放送中学」はこれにてご臨終の可能性が高く、外国人向け日本語講座を担当している神原則武さんから「わたくしと同じ墓に入ってくれないか」とプロポーズをされていますので、おそらく天国へグッドバイかとも思われます。神原さんはかなりの手練れ。手タレじゃないですよ。もちろんヘタレでもありません。コラボレーションのお誘い、ありがたくお受けします。オウケーイ!放送中学・立石さとしの日本語講座、これにて、完!
 ではなく。放送時間が余っているので何か話さねばなりません。自分の心の奥底から話のネタをさらい上げてみます。──えーと、もうネタ出し尽くしました。放送中学の講師に任命されたのを機に、溜め込んだネタを一気に放出しました。ちょっと散漫でしたか?だって溜め込むっていうのは良くないというじゃないですか。タンス預金は不景気を招くと言いますしストレスは発散させねば病気の種に成りますし正常な青年男子はカウピスの製造を止める事が出来ません。ですからドビッと出してみました。
 しかし。(事態は急変!みるみるうちに立石の顔から笑いが消え失せる)ひとくちにネタ大放出と言っても、その内容は凄惨を極め見るも無惨な○ンコネタばかり。(○の中には「リ」「ウ」「マ」「チ」のうち好きな言葉をお入れ下さい)(いや、リンコって、なんだ)
 ではなく、(今日は脱線おおいですね)(ディレクター、今日は縦横無尽だね!)(おぅ!オレのことは誰にも止められないぜ!)(そこの乗用車、路肩に寄せて止まりなさーい)(はい…ショボーン)ではなく、…なんの話でしたっけ。あ、そう、そうです、自分の心を探ってみたところ、こんな結果にふと突き当たりハッとしました。
「もしかして、結果くん?結果くんでしょ!」
「え…?ああ、ああ!2組の!」
「そう、立石さとしだよ。ひさしぶり~☆」
「なになに、元気にしてた?」
「うん!もうバッチリぜんぜん元気じゃないよ!」
「そうか、そりゃ良かったな!(爆笑)」
「(爆笑)じゃないでしょこのこの~☆ パンチ!」
「ぐはぁぁぁぁあああぁ!??」
 結果を見つけたのですが勢いあまって撲殺してしまいました。ごめんごめん。
 なんだっけな…。そうそう、結果くんの死に顔には油性マジックでこんなダイイング・メッセージが書かれていました。
「ゴメンですんだらケーサツいらねんだよ!」
 おお、一度は声に出してみたい日本語。なるほど。日本語教室だもんな、一度は声に出してみたい日本語を特集してもバチは当たるまい。
「あ、このマンガのセリフ、ちょっとステキ☆ 声に出してみたい。一度でいいから言ってみたい。だけど──はずかしくて言えないヨ~(ほっぺた紅潮)。こんな苦いセリフ、実際にはクチには出せないよね!!(注:「クチに出す」っていうのは「言う」って意味です。気を付けて)でも、なんだかカッコイイから、言ってみたい。そう、発話するなんてコソバユイんだけど、言ってみたいの…」
 そんな言葉、あなたにはありませんか?あるでしょう。あるはずです。え、ないですか。いやまさかそんな、へへ。え、ほんとにないんですか??あーそうですか。
 それでは、一度は声に出してみたい日本語の数々を一挙にお届けするよ!スタートどぅびどぅHAー!
 その一。【ヤッターマン。コーヒー。ライター】
 何も知らない女の子に「ちょっと言ってみてよ」と連呼させた事があります。その子はなかなか気付かず早口言葉ノリでこの呪文を繰り返し唱えてましたがしばらくするとようやく意味を悟り悟った瞬間私をひっぱたきました。
 その二。【おととい来やがれ!】
 面接に四十八時間遅れてやってきた人に向かって言ってみたい。そのためには、人事担当を目指そう。目指せ人事部長昇格です。よし、挫折。
 その三。【毎朝おみそ汁を作ってくれないか】
 遠回しのプロポーズとして有名なこのセリフ。実母には頼めそうですが、恋人に言うのは至難の業です。だいいち私の朝食はトーストと決まっておりますのでおみそ汁を作ってもらうなぞコッチから願い下げです。
 その四。【クリリンのことかーっ!】
 鳥山明『ドラゴンボール』の作中に登場する名ゼリフです。「栗原」という名前の友がおりますので彼のあだ名を「クリリン」に変える事から始めたいと思います。
(その他注意事項)まちがっても「クリちゃん」とは呼ばないように!


(CM)
 春眠暁を覚えず──。春眠は出来の悪い子でして、「暁」をいつまで経っても「焼」って書いちゃうんです。いくら注意しても直らないんです。しょうがない野郎でしね。過労で死ね。睡眠薬入りポテトチップス「春眠」おいしいよ。



「お、この映画のセリフ、ちょっちカッコイーんでないかい?声に出してみたい。一度でいいから言ってみたい。だけど──はずかしくて言えっかよ!怒髪、天を衝く!こんなクサい声明、クチに出したら嫌われる!!(注:「クチに出す」っていうのは「言う」って意味です。気を付けて)でも、なんだかカッチョイーから、言ってみたい。言ってみたいんだよ、健さん!!」
 そんな言葉、あなたにはありませんか?ないでしょう。どうせないでしょう。ないんでしょ?さっき聞きましたもん…。
 (涙目)あなたに無くとも私にはあります…。一度は声に出してみたい日本語であり、なおかつ、何を血迷ったか実際に言っちゃったセリフが。
 その五。【名乗るほどの者ではありません】
 男は黙って背中で語るんだかなんだか知りませんが、沈黙しがち・やや対人関係が苦手な用心棒のもちいる言語です。略して沈棒語です。人助けなどをしたあとに「あの…せめてお名前だけでも…!」と問われた時に吐くべきセリフです。
 ある日私は路上でぶっ倒れている小学生を発見しました。どうやらいじめられてバタンキューらしい。私は小学生をおんぶし、小学生はランドセルをおんぶし、「親亀の上に子亀を乗せて子亀の上に孫亀を乗せて」なオンブスマン制度だったわけですが(オンブスマンの意味はもちろん知りません)、その小学生のおうちまで連行しました。
 インターホンを押します。ピンポンダッシュのクセがついているので押した瞬間条件反射的に逃げ出したくなるので困ります。そこをなんとかグッとこらえ、玄関の前に突っ立っておりますと、その子のお母さんが出てきました。
 事情を手短に話し、拘束していた少年の身柄を引き渡し、「じゃあこれで」とクールに去ろうとする私。
「待って下さい!」
 呼び止めるお母さん。
「お礼に、お茶でも。うちにあがっていって下さい」
 きれいなお母さんだったら上がろうかとも思いましたし、それがもしマリリン・モンローのようなお母さんだったらうちというよりお母さんそれ自身に上がってお礼のお茶目をしてもらおうかとも思いましたが、「いえ、結構です」断然ことわりました。
 とっとと帰ろうとする私を、しかしこのお母さんは容易に帰しません。
「このへんに住んでるんですか?」
「住んでません。スンスン」
「どちらにお住まいですか」
「地球です。いえ、本当にお気づかいなく。それではさようなら」
 あくまで見返りを求めぬ人助けだぜって事を主張する偽善者の私。
 と、ここで、来た!
「せめてお名前だけでも」
 うわー、この前フリ。ありえないほどの台本通り。言わざるを得ないでしょう。男なら、言うっきゃないでしょう!
「名乗るほどの者ではありません」
 うわーっ。。。 さむーぅ。
 こうして私は、この「男の子(※)ならば誰もがあこがれるセリフ」を吐く事が出来たのです。(※ 脳の足りない子限定)
 ていうか、「せめてお名前だけでも」っていうのもスゴイですよね。お名前だけ聴いてどうすんだろ。「えぇーっ!木村拓哉っていうんですかぁ~☆」「ああ、あの!資産家で有名な岩崎さんとこの!」とか、リアクションがしたかったのかな?今思い付きましたが「三波晴夫でございます」とか「ヒロシです…」とか「マイケル・ジャクソンですっポーゥ」とか答えてたらまた違った展開になっていたかも知れませんね。不覚。


(CM)
 鼻毛抜き専用ピンセット・スットコドッコイ。これを使って他人の鼻毛を抜くのって最高にエキサイティング。かなり痛そうなんだけど何度も引っこ抜いてしまう…。「もしかして、自分ってサドだったの!?」他人の鼻毛を抜いて新しい自分を発見です。つまりは他人の鼻毛イコール新しい自分です。考えさせられずにはいられません(人生をやり直そうかどうか)。



 お話ししてきた工程を経て、BNSラジオの番組企画書は書き上げられているわけです。どうですか。勉強になりましたか。なりませんね。なるはずがない。なったとしたら、ごめんなさい、ちょっと軽蔑させてもらいます。
 おっと、ようやくの事あいかさんからメールが届いていました。しかも、のべ七通。現在進行形で次々に届いておりますのでもっと増えるかも知れません。
 これがですね…。あまりにもつまらないメールでして、みなさまのお耳汚しをして良い物か、いささか判断に苦しみます。あいかさんを演じている相田勘兵衛被告(仮)はよっぽど文才が無いと言わざるを得ません。もっとですね、オレがコロッとだまされて「あいかはん…あんた、わいのソウルメイトやで。結婚してや!」とホザいてしまうような、そんな熱いメールをしていただきたかった。むかつくほどに演技力の無い相田くん(三十四歳独身)。なんだか腹立たしくなってきました。これから相田くんのメールを一挙公開していくわけですが、一通一通につっこみコメントを添えていきます。普段は温厚キャラの私ですが、今回ばっかりは怒り心頭です。「おまえがスベるから、企画台無しや!」と。そのため、ちょっと言葉づかいが汚くなるかも知れません。ご了承下さい。悪いのは相田くんです。
「すぐにメール送ろうと思ってたんだけど、急なお仕事が入っちゃって、帰りがすごい遅くなっちゃいました。あの、この前私がコーヒー一緒に飲みたいなって言った事覚えてくれてるかな?あれって全然冗談とかでいったつもりじゃないんですからね。どうかなぁ…」
 覚えてるかって…。覚えてるに決まってんだろ!バカにすんじゃねーよ!あんたこそ忘れてんじゃねーのか?「覚えてくれてるかな?」って、アイデンティティー確認のための自問じゃねーのか?
「メール返すの遅れてごめんね。電話でちょっと友達と話し込んじゃってて。もちろん女の子ですよ。もし会ってもらえるなら待ち合わせ場所と時間はお任せするね☆」
 てめー複数人と同時にメールしてんのバレバレなんだよ!しかも、「もちろん女の子ですよ」ってあわてっぷりから察するに他の誰かからも「おまえ男だろ?」って疑われてるみたいじゃねーか!やめちまえ、こんな仕事やめちまえ!あんたにゃ向いてねぇよ。まぁ、どんな仕事もあんたには向いてねぇだろうがな!
「会えてから言おうと思ってたんだけどやっぱりその前に知っておいてもらわなきゃいけない事があるんです。出会い系サイトに【あい】っていう名前で伝えたい事載せました☆あ、もちろんお金のかかるところなんかじゃないですよ。知らない人にはわからないようにちょっと変な載せ方してるから、めんどうなんだけど【あい】を見つけたらメールくれますか。見方を教えるからね♪変なお願いでごめんね。」
 うわー来ましたよ、登録催促。「知っておいてもらわなきゃいけない事がある」って、あんたの正体が業者だってことか?「普通を装っていたメール」から「商談メール」への、その移行があまりにも下手すぎる…。ちょっと駆け足すぎだよハゲ。この早漏!そんなヘタな説明で、誰がだまされると思うんだ?…いや、だまされる人もいるんだよなぁ世の中。特に、ネットの汚さを知らない土木建築作業員とか。そういう人たちの心をもてあそぶの、ちょっと許せない。
「すぐには信じてもらえないかな。やっぱり…。まだお互い知らない事だらけだしね。だけど、見て内容を知ってもらえたら、ぜったい納得してくれるよ☆見てもらうにはアドレスを載せてもらわなきゃいけないんだけど、アドレス以外は全部嘘の事載せたと思うんだけど私大丈夫だったよ。もちろん個人的なことが知らないところにもれるなんて事はないよ。あったら今頃私は……(笑)そんなところ一回でも使わないし、気楽に見てほしいんだけど。」
 あのー。さっきから、どなたとお話しですか。何も返事してないのに「やっぱり…」なんて言われても困るのですが…。この浮気性!信じてたのに!あんなに愛してたのにぃぃ!
「あたりまえのことなんだけどお金のかからないところだから載せたんだしさ。【あい】のところを見たことで迷惑をかけるなんて事は絶対ないよ!ホントに!(笑)ただ私の事を会うより早く知っておいてもらいたいだけだよ。。」
 言わなくていいこと言っちゃってる…。「迷惑をかけるなんて事は絶対ないよ!」って、「ご迷惑おかけします」と言っているようなものですね。どうせ写真とかも雑誌の切り抜き使ってるんだろ?
「じゃあ携帯アドレス教えちゃいます!ごめんね、番号はまだおしえる勇気がでなくて。【あい】の内容さえわかってもらえればおしえられるんだけど…。」
 「じゃあ」て…。要求してねぇよ!!知りたくない、知りたくないよ、このウンコ!色んな人に同内容のメール送っちゃってます。あんた、まともにパソコン操作できてないんじゃないですか?自分自身の駄目さ加減にそろそろ気づいたらどうですか?もしかして相田被告、男の子(三十四歳シロート童貞)じゃなくてどっかのおばさんがバイトで演じてるのかな。
「もし私が変な目的(?)をもっていたら携帯のアドレスなんて教えられないんじゃないかな。図々しい事いってるのかな。気楽に見てくれませんか?出会い系サイトの【あい】のところってもうなにがなんだかわからない感じの文章だからすぐ見つけてもらえると思うし、簡単に見れるんだからね☆」
 なんだ「教えられないんじゃないかな」ってその口調は。きさまはどっかのコメンテーターか。でもまぁ、そうですよね。携帯のアドレスなんて教えられませんよ。プライベートの携帯アドレスはね。そのアドレスは業務用だろ?バカじゃねーの。くだらねぇ人生だな、お ま え。
 これ以上言うことはございません。おしまいです。
 死ねばいい。


(CM)
 喫茶「名ハト無ジーク」。店内にはボサノバなんて流れちゃってて、屋根にプロペラみたいの回っちゃったりしてて、ほおづえ突きながらコーヒー飲んじゃったりして、中世ヨーロッパのサロン的雰囲気で現代美術の興隆について語っちゃったりして…。全国の自称ダンディー実質カン違い野郎どもの溜まり場さ。
 喫茶「名ハト無ジーク」略して名ハジ。もしくは名無し。とってもキザで、超ぱちょぺ。



 てなわけでみんな元気かなクソッタレ?今日という日ももうおしまいですね!もうおしまいだ!何もかもおしまいだ!もう、どうしようもない!!(微笑)
 企画書作り。ミッドナイト十二時を境に前後三時間・のべ六時間ほどが私の習慣的な執筆タイムです。どういうわけかこの時間帯はアイデアが淀みなく溢れて紙の上を軽やかにダンスするんです。昨日でもない、明日でもない、今。日付変更線の上にいて、昨日と明日両方に片足ずつ突っ込んでいる、そんな状態。その時なぜか文章を大量生産できるのです。
「それはね立石さとし。古くなった昨日の自分を捨て、新しい明日の自分を迎えるための準備をしているからよ」というとなんだか詩的で聞こえはいいですが結局それって脱皮ですよね。ヘビみたい。
 ということは脱ぎ捨てられた古い皮がBNSラジオの企画書ってことになりますね。みなさんは日焼け跡のようにポロポロとむけ落ちた汚い薄皮をお聴きになっているという事になります。申し訳ない話です。
 それではおやすみなさい。いい夢見ろよ。自分。


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