とりぶみ
実験小説の書評&実践
BNSラジオ 21:00~22:00   (2009/08/01)
Ver.1.01【40枚】
カメラトーク+
(イントロダクション~ポンツック推薦文/ポンツックライヴレポート/ジーブリー登場~You Say Mean Yeah Car/雑誌のインタビュー朗読)

【クイックリンク】
イントロダクション~ポンツック推薦文
ポンツックライヴレポート
ジーブリー登場~You Say Mean Yeah Car
雑誌のインタビュー朗読





 最近うちのオヤジが寝言で「すずめチュンチュン」とショッキングなことをのたまいました。軽くヘコんでます、DJカメラですCom!Bang!Wao!
 いやっほうみんなオゲンコー?ついに始まっちゃったよ新番組カメラトーク+!うっひょうウッヒョウうっひょおう!さっそくリスナーからのおたよりが届いてるから読むね!──えっ、いつおたより募集したのかって?バッカだなぁ、スタッフが書いたに決まってんだろ!第一回放送なのにハガキが届いちゃってるのって当然ヤラセなんだよ。業界の常識だよ!?
 そんなわけでスタッフの一人が計三通のおたよりを上司命令で書いてきてくれたからしょうがなく読むよ。ご大層に別々のペンネームを使い分けてくれてるけど、そんなの関係ない、バラしちゃうよ。
「どんな番組ですか?(ラジオネーム鼻毛さんからのおたより)」
「+って何?(ラジオネーム脇毛さんからのおたより)」
「なんでそんなにテンションが高いの?(ラジオネーム歯毛さんからのおたより)」
 なんだいこの投げやりな質問は。やらせられてる感アリアリじゃあないかい。もうちょっとこう、演技派で行ってほしかったね。「本当にリスナーから届いたのかも!」って思わせるようなリアルで理あるおたよりをね。
 まぁ、苦労して上手なおたよりを書いてきてくれたところで「これはスタッフが書きました」ってバラしてやったけどさ!
 ──いちおう、リスナーから届いた大事なおたよりという設定にしておいて、しっかり答えておこうね。(ハガキをシュレッダーにかけながら)
 どんな番組か。音楽番組だよ。BNSラジオはトーク番組が主で、他局に比べて音楽があまり掛からない。その不足を補うために制作が開始されたのだ。
 「+」が何かって?これは「プラス」って読むのさ。「じゅう」じゃないんだよ。「クロス」でもないよ。「足す」を意味する記号でさ。そんなことも知らないのかい?小学生でも知ってるよ。おいおい、「あしす」じゃないってば(笑)。バカは死ななきゃ直らないというから、いっぺん地獄を見た方がいいかもね。
 なんでそんなにハイテンションなのかってぇ?やる気がねぇからに決まってんだろうが、ボケ!!新規リスナーに気に入ってもらおうとは思わねぇ。コビ売るつもりは毛頭ねぇよ。毛の頭ほども無いんだよ。乳の頭ほども、乳毛ほどもなぁ!あのなぁ、お客の数を増やそうと思ったらなぁ、もっと端正で上品な営業トークにしてらぁ。そんくらい空気読メ。なめんなよコラ!死ね!!
 …死ねは言い過ぎました。生きて下さい。死なないで下さい。後生です、遺書に俺の名前は書かないで下さい。あ。俺名前偽名だ。じゃあ別にいいです遺書残しても。もしよろしければ、よろしければでいいんですが、「全財産はBNSラジオのDJカメラに相続させるものとす」と書いておいてくれると俺うれしい。
 …っと、なんでこんなおだやかな口調なんだよクソッタレー!チキショウ、育ちがイイから粗雑な言葉づかいに慣れてねぇんだよ!ファック!今日はおまえらに気分が悪くなる音楽をプレゼントしちまうぜ。悪意に満ちた放送だバカタレ。乱暴な口調で行くから覚悟しとけよ。ランボー怒りのアフガンだぜ。
 第一回目の放送、前半はポンツックのライヴレポート。後半はMCジーブリーをスタジオに迎えてスペシャルライヴをしてもらうぜ。営業の連中のせいでスポンサーがあんまり集まらなかったからCMは少なめ。広告マニアは次回以降の放送に期待しろ!
 まずはポンツックを知らない人のために、ヤツらに対する各界著名人の推薦文を集めたから読むぜー!
「オレたち!(わたしたちは!)ポンツックを応援します!」
 ──米良威男(業界(ポンツック業界)随一のライブレポーター。ライブ出席率百パーセント、筋金入りのポンツックマニア)「初ライブから注目しています。ポンツックの一番の魅力…そうだなぁ、なんといっても、センターに陣取る伊藤さんのMCかな!オーディエンスに拍手をさせるすきを与えない、圧倒的な話術!噛みまくり!埼玉県越谷市上間久里!」
 ──ケイ・ムライ(音楽マガジン『シンクラヴィア』記者。ポンツックを見守るため、常に彼らを柱の陰から覗いている)「初ライブから監視しています。彼らの醍醐味は、静と動。空間を埋め尽くすペインティッド・サウンド(意味は各自で調べて下さい)の切れ目切れ目に、雲の隙間から日が射すようにアンニュイ(意味は辞書を引いて下さい)な歌詞がインサート(以下同文)される。刹那の静寂。しかしその安寧はまさに一瞬、間髪を容れず彼らは再びバイオレンスなまでのミュージックをボンバーさせてのたうち回る。そのドライ&ウェットウェーブにムーヴ・ヤ・ボデーだぜ」
 ──米良威男子(非公認ファンクラブ非会員。自称十九歳モダンガール。もちろん、中身は男の子だ)「ライブは必ず見に行きます。絶対。身内が死んでも行きます。でも、用事があったら行きません」
 ──メゾソプラノめそ(富良野第二産婦人科出身。二十四歳。2005年2月1日より音楽評論家として立身、同2日には出刃包丁のセールスマンとして金融界にデビュー。同3日、銀行強盗と間違われて機動隊に包囲されるものの、午後には釈放され、遠足はおうちに着くまでが遠足です。氏はこの事件を機に「自分は音楽評論家である」という基本事項を思い出し、音楽ひょロン家として出家。同4日にはのちに氏の代表作となる「ポンツック推薦文」を起稿、同5日に浄書し、同6日脱稿、同7日に発行し、各界から本末転倒の絶賛を得る。この推薦文はさかんに模倣されたため、現在の氏は訴訟に明け暮れる日々を送っている。今後の活動としては、ポンツックがベーシストを募集しているというので連絡を取り、正式に辞退する予定)「やつらはスゲー」
 ──舛岡恒春(生け花を昼飯として考えちゃおうの会代表)「二十世紀を代表するアイドルグループはおニャン子クラブとキャンディーズだったわけですが、二十一世紀初頭を代表するアイドルグループといえばモーニング三十路と森三中です。ポンツック?何それ食えんの?」


(CM)
 クイーンのようにゴージャス。クラプトンに似たスローハンド。レッドツェッペリン並の凶暴性。カルメン・マキみたいな耽美性。レディオヘッドよろしくコンピューターオッケー。ーチボーイズを連想させるコーラスハーモニー。
 そういう物は、ポンツックにはない。あるのはただ、頭文字「ク・ク・レ・カ・レ・ー」の精神だけだ。つまり、そういうヤツらだ。(どういうヤツらだ)
 うるせぇ!ヤツらについて知りたければ実際にその目その耳その鼻で確かめろ!来て観て聴いて嗅げ!



 都内某所でしめやかに行なわれたポンツックのライヴ。こども電話相談室のDJを務めるイーオンくんと一緒に行ってきた。
 チケットを家に忘れるという痛恨のエラーをしでかしたため、ライヴハウス入り口にて言いがかりをつけて取材敢行。受付の人には迷惑をかけた。この場を犯して──あ、言い間違えた。正しくは「この場をお借りして」だけど、自責のために敢えて訂正はしないぞ。ちょっと変態だな。しかも自責、自分を責めている。かなり変態だね──この場を犯してお詫びして感謝しとく。どうもごめんなりがとう。
 このバンドには俺の知り合いが二名いる。実に五十パーセントの割合。ザ・フーで言えば「ピートとロジャーだけ来日しました」という感じ。いや、それでは他の二人が死んでるみたいな言い草でアンマリだ。言い換えよう…。ザ・ビートルズで言えば「どうも!ポールとリンゴでーす!」という感じ。…やっぱり殺してしまっている。良くない。何かシックリ来る表現はないか…。
 お、あった。ポンツックのバンド構成&立ち位置は、ビートルズのバンド構成&立ち位置とほぼ同じだ。となると俺は、よくしゃべるジョージ&女ポールと知り合いってこった。つまる所、中央の伊藤くん(G,Vo)、向かって左側の西池明美ちゃん(B)と知り合いだっつうわけ。どちらもBNSラジオの同僚。意味不明な喩えを出す必要はなかった。第一、洋楽を聴かねえヤツにはサッパリわからぬ…。ごめんよママ。
 しかし独立自尊、どうせママはBNSラジオを聴かねえから、さらに脱線すっぞ。ロック史上最高のベーシスト、ジョン・エントウィッスルが亡くなった時、ダチがこんな事を言ってたぜ。
「フーの残りカスと、ビートルズの残りカス。合わせればスーパーバンドの誕生や」
 関西弁なのは彼が滋賀県出身だからだ。「残りカス」という表現は議論を呼びそうだが、合併すれば確かにちゃんとした構成のバンドになる。ロジャー(Vo)、ピート(G)、ポール(B)、リンゴ(Dr)。超スーパーバンド!
 「バンドに興味があったのはイカ天まで」という方にはツライ内容の番組だろう。簡易解説をしてやるよ。VoとかGとかBとかDrとかあるけど、これは「ヴォーカル」「ギター」「ベース」「ドラム」の略だ。決して「ヴォケ」「ジャイアンツ」「ペッティング」「博士」の略ではない。わかったか。わかったね。良かった、啓蒙活動成功だぜ。君も明日から英語博士!
 さあ、読者があまねくロック通に昇進した所で肝心のレポートに移ろう。
 メンバーがステージに登場してスタンバイした瞬間、アンプがいきなりハウりやがった。「ハウる」という言葉、よくわかってないのに知ったかぶって使ってみたが、俺は「えらいこっちゃ」という意味で諒解している。おそらく、「ハウリング→ 吠える→ ホエール→ 大洋→ 権藤権藤雨権藤→ えらいこっちゃ」という事なのだろう。まさか『ハウルの動く城』とは無関係だとは思うが自信はない。
 俺が使用する音楽用語には多くの不備があるかと思う。しかしそこはトーシロのこと、目をつぶってくれ。「3コードって何?ギターとアンプをつなぐ線かえ?」というレベルの発言が不意に飛び出すおそれがありますので、前方注意・スピードは控え目でお願いします。
 話が脇道に逸れがちですまん。もう、思った事を何の躊躇もなくすぐ口にしてしまうから話が一向に進まない。チームカメラトークは俺による独裁政権なので誰も止めてくれやしねぇ。暴走の一途だ。
 ここで「殿様、いつレポートが始まるんだよ?」とチームカメラトークのDJカメラくんに指摘されたので話を進展させるぜ。とにかく、アンプがいきなりハウったわけだ。怒鳴るどキィィィインと。俺の声帯模写から想像できない人は、アラレちゃんを思い浮かべてくれ。イーオンくんはハウゥッ!を聞いて「いきなりかよオイ」と心配している。いや、心配したフリだ。顔がニヤケている。完全に他人事だ。ステージの上のメンバーたちは不安そうなのに…。なにせ「えらいこっちゃ」なのだ。俺はニヤケる事もなく、不安そうな顔で「夕飯は何を食おうかなぁ」と思った。
 俺が深刻な顔で「夕飯はまあ、ライヴ終わってから決めよう」と決断すると、無事にシステムが復旧した。メンバーはそれぞれ音を出し始める。けれども各自が勝手に音を出し、ぜんぜん曲になっていない。「どうなってるんだこのアヴァンギャルドめ」と憤慨していると、伊藤くんがヘボいMCを始めた。ここに至ってようやく、「ああ、チューニングだったんだ」と気が付いた。
 そんなわけでライヴがおっぱじまった。一曲目は『十三階段ポエム』だ。現地でのオーディエンス録音を聴いてくれ。
(※ライヴ録音)「グーチョキパーで グーチョキパーで 何作ろう 何作ろう 右手はグーで 左手もグーで 死刑囚 死刑囚」
 うーん。いいね。いいとしか言えん。
 実は、ライヴを観る目が肥えてない俺には、人様のパフォーマンスを語る資格が全くない。衝・撃・告・白!なのにライヴレポだなんて無謀極まりなし!!前フリが長かったのはそのためだ。印象批評しか出来ない。記号論とかポスト構造主義とかは勘弁してくれ。
 堂々とした歌いぶりだ。伊藤くんは途中のギターソロでサングラスを吹っ飛ばした。首を縦揺れでガンガン振ってたから前方にズピューッと飛んだのだ。故意か事故かはわからないが、かっこよかった。「仮面を外したぜ俺の正体はコレだ!」みたいな、謎のヒーローが第一話からベールを脱いじゃったヨみたいな、なんとも潔い飛ばしぶり。ここから一気にエンジンが温まってグルーヴ感が出た気がする。ちなみにグルーヴの意味は知らない。
 ボルテージが上がりつつ、セグエ式メドレーで二曲目『失恋女哀歌』へ突入。「セグエってなんだい」という質問はしないでくれ。
(※ライヴ録音)「グーチョキパーで グーチョキパーで 何作ろう 何作ろう 右手はチョキで 左手はグーで 手首切り 手首切り」
 もーね。まいっちゃった。やられた。すごかった。負けられない、と思った。ヤキモチを焼きました。もち肌でしたね(意味不明)。
 そうだ。負けられねえ。実は俺、ずっと内緒にしてたけど、小学校の頃にピアノ、中学校一年時からギターを習ってたので、楽器の演奏はかなりの腕前なんだぜ、と公言できるといいなぁとずっと思ってた。──意味の通りにくい文章だが、要するに習ったことはない。「負けられない」と思っても、そもそも勝負に持ち込めない。名誉の不戦敗だ。言ってみりゃあ、勝負に勝って試合に負けた感じ。勝負には勝ったのだ。つまり、俺は勝ったという事。だって「負けられない」と思ったので負けたくないジャン。大丈夫だよな?理解できたよな?以上の論法がわからないヤツは小学生からやり直した方がいいぞ?伊藤、勝ったぜ!死ね!
 二曲目が終わると客席からは拍手が起こりかける。が、ブレイクを入れると思いきやドラマーのプレイが止まらねえ。流れ込むように三曲目『かわいそうな旦那さんのための遁走曲』が始まった。オーディエンスに拍手をさせる隙を与えやしない。
(※ライヴ録音)「セールだからといって そんなにたくさん食材を買ってくるな/おまえの飯は そんなに食えないなぜってゲロマズだから/放屁が臭い吐く息が臭い 洗濯物すら臭いむせかえるほど/おまえの料理が悪いんだ 食えば誰でも臭くなるだろうから
 子どもが出来なくて おまえは悲しんだ/でも良かった 俺の精子は感心だ/おまえに犯され 吸い込まれたが/しがみついて耐えたんだ たいした握力さ/俺は浮気はしなかった おまえも浮気はしなかった/出来なかったんだ その顔じゃ/俺の過ちは鏡を突きつけなかった事/おまえの過ちは生まれてきた事
 忘れてくれるな おまえは最低のビッチ/忘れてくれるな おまえなんかと結婚した俺は世界一の愚か者/暴力女、殺人未遂 ビンタ茶飯事 包丁で刺された事もあったっけ/離縁状を突きつけたら きっと三枚に卸される」
 三曲目が終わった。が、観客は二曲目で肩透かしを喰らっていた為、拍手をためらう。「終わったと見せかけて、またすぐ始まるんじゃない?」会場全体の思考が一体化した瞬間だった。
 会場がシーンと静まり返っていると、ステージ上の若者たちは水を飲んだりして休み始める。ガーン。今度は本当に終わってやがった。気まずい瞬間だ。しかし、今さら拍手をする事も出来ねえ。仕方なく彼らの動向を見守ることにする。あら、ステージを降りていきます。幕も下ります。たった三曲ですか。伊藤くんがサングラスを大事そうに拾っている姿が印象的でした。
 俺はシロウトらしく「良かったんでないの」という具体性の無い感想を述べたが、イーオンくんは音楽畑の人間らしく忌憚のない批評でポンツックを斬る。
「どうしようもないな」
 あれ。全然ダメだったんだ。いいと思ったんだが。そう、俺の耳なんて所詮この程度。慢性中耳炎を患ってます。
「しかし、きちんとグルーヴ感は出ていた」
 ほら、グルーヴ感!やっぱり出てたんだよオイ!当たってたぜ、ウンコ!見直しなさい。──まあ、具体的に何がグルーヴなのかは結局わからんが、電気グルーヴを愛聴してるイーオンくんは知っているのだと思う。
「意識的に曲間を排し、メドレー構成にした所は一定の評価を与える事が出来る。しかし、全体的な統一感を出せてはいたものの、ライヴの流れ・山を作れなかったのも事実だ。流山電鉄だ」
 流山電鉄というのは千葉北部の私鉄のこと。ライヴとは無関係。なぜこのタイミングでイーオンくんはそんなことを言ったのか。多分ダジャレだろう。聞き流したら少し不機嫌そうになったから間違いない。
 うーん。確かにイーオンくんの言う通り「アレ?コレで終わり?」という印象は拭えなかったな。最後に演奏する曲は、やはり「ライヴの興奮を余韻として残すためのエネルギッシュでパンキッシュでハードボイルドでキッチュでロシャコイでスピリチュアルな演奏」もしくは「シンミリおセンチナンバーで、後続バンドが演奏をやりづらい空気を作っちゃえハハハ知るかよぅ俺たちゃ悪魔!」が良かったんじゃねーだろうか。
 しかしまあ、西池ちゃんは素晴らしかった。可憐な女性ながらも派手なパフォーマンスを披露してた。ベースのパートを弾き始める時に手でリズムを取ったり。具体的にはお清めの塩をババババと連射するような動きだと思え。全身から緊張感を発散させながらも、バンドのグルーヴに身を委ねて身体が自然と動いていくような、そんな珍プレー好プレーだった。──すいません珍プレーはありませんでした。それからグルーヴの意味はまだよくわかってません。
 リズムキープにとどまらないメロディアスなベースプレイ。リズム隊としての地味な役割と言うより、各楽器の音に積極的に絡み付いていくような、そんなエロティシズムさえ感じさせた。すまん言い過ぎた。でもまあ、エロい感じだ。BNSラジオなんか辞めてプロになればいいのに。絶対なれるよ。西池ちゃんの美貌と実力があれば、絶対プロになれる!
(舞台は一転、アメリカ西部の荒野)
【西池】何を根拠にそんな絶賛するのか?てめー、テキトーぶっこいてんだろ!
【カメラ】あン…?カンに決まってんだろうがっ!
【西池】な、なんだと!?
【カメラ】もし外れたら、恥ずかしいから、絶対なってくれよな!!
(これ以上ないサワヤカ吐息~な表情のDJカメラ。歯の白さは再石灰化アパタイトによる)
(と、突然脱ぎ始めるDJカメラ)
(困惑する西池)
(舞台暗転)
(ハゲヅラ&半裸のまま保安官に連行されるDJカメラ)
(取調室にて)刑事さん、もう勘弁して下さいよ…。気づいたら、こう、ポロリしてたんですよ…。これはこう、なんていうか、西池ちゃんとコラボレートしたい欲望に突き動かされたっつうか…。コラボレートの意味は訊かないで下さいっつってるんですよ…。いや、別に変な意味じゃなくて、西池ちゃんのベースと俺のトークで、ってことっスよ…。もう勘弁して下さいよ、あの時のことは覚えてないんスよ…。


(CM)
 Yo men、we are 面妖。俺サイコー、おまえサイコー!(psycho!)BNS読者、斉藤!(え!?)You 斉藤、要チェックだYoヒウィゴー!
 DJカメラ&DJイーオンのプロデューサーチーム「カメラ・イーオン」による斉藤デビューシングル。みんな、店頭で見かけたら絶対無視してくれyoな。買うなyo!



【ジーブリー】YO!YO-!ヨゥ!ヨゥ!酔う!番組MCが自身の妄想世界に連行されてしまった。なんじゃそのエキセントリックな展開はーという驚きと共に登場MCジーブリーだチェケダッチョー!(=チェ毛脱腸)。
 驚き、コイツいいヤツなんです。曲がり角で待ち伏せしてくれてたり、ひどい時は花火を耳元で炸裂させてくれたり、宿題を写させてくれたりCD貸してくれたり教室掃除を手伝ってくれたりたまに飯をおごってくれます。これからもよろしくねオード・ロッキー。
 さて、さっそく驚きと絶交しつつパフォーマンスすっか。時代の最先端・開拓者・パイオニア・パイオツマニアの俺は、世間一般の愚民よりもいち早く郵政民営化を訴えていたぜ。ヒップホップを用いてな。
 そういや「ヒップホップは暴力じゃねー。魂だ!」っていうビラが地元に貼ってあるぜ。はずかしすぎるぜ。しかもこのヒップホッピングな若気の至りもイイトコな主張はなぜかドラえもんが語ってるんだ。全体はグラフィティ・アートで統一されてるのに、ドラえもんだけやたら普通…。(初体験の乙女のような声で)は、はずかすぃいよぉ…。
 ……よっ!?よ、ヨーッ!そんな話はドーデモいいんだぜドゥダハッソー!なんだかこっちが照れちまったよ、クソッタレー!
 今日はヨー、「You Say Mean Yeah Car」ってラップを披露すっから耳の穴かっぽじって聴くんだぞこのスットコドッコイ!
 ヨゥ、ヨゥ。見逃すな、オレのスキル。おすぎの動詞形そりゃ「おすぎる」。聞き逃すな、オレのフロウ。池袋の待ち合わせ場所そりゃイケフクロウ。
 チェケラー。You say mean yeah car。あなたは車をイェーと意味すると言います!(BGMスタート)

(1番)
 俺の名前はジーブリー。ゼット・アイ・ビー、エルアイ・イーアール!/ZEBRA(ゼブラ)じゃないずらー、ZIBLIERであーる/(コーラス:生粋の~ジーブリーファンー)
 俺はトトロっ生まれぽんぽこ育ち/飛びそうなやつとは大体トモダチ/空飛ぶやつらとだいたい同じ/ラピュタ!ベニ豚!窪塚!!(I can fly)
 飛ばねぇ豚は、ただの豚だ(そりゃそうだ)/働かねぇ公務員、ただの豚だ(そりゃそうだ)/世襲制郵便局、税の無駄だ(そうだそうだ)/武藤敬司、中身ムタだ(そりゃそ…そうか!?意味わかんねー!)
 風の谷の…(ウマシカ!馬鹿!)/(恋の合い言葉は?) バルス!(目がぁ、目がぁ~)/チェケラッチョ、チェケチェケラッチョ!(面倒くさくなってきたんだろ?)/チェ…![語気を強めて]ちぇけらーっ!(顔、真っ赤だぜ)

(* フック)
 郵政民営化?反対!郵政民営化?反対!
 夢精人生か?変態!郵政民営化?反対!

(2番)
 YoYoYo。ジーブリーのラップをみんなに聞かし/郵政民営化について語ってみたい/完全フリースタイル、下書き無し/テキトーラッピン’like a キバヤシ
 ある日地元の特定郵便局/に電話して俺はこう申告/「荷物があるのですが、集荷してもらえますか?」/「今担当の者がいないので夕方にまた電話くれます?」
 ヨー!なんだその態度/俺はおまえを、殴りたいどー/普通の企業じゃ「折り返し/お電話差し上げます」っていう感じ
 しかたねぇから夕方に、電話したらば、あ、したらば/「もう今日の業務は終了なので、明日なら」/翌日に回されちまった俺の蟹・THE・タラバ/てめえで時刻指定しといてなんだそのザマ、腐っちまわー

(* フック)
 郵政民営化?反対!郵政民営化?反対!
 夢精人生か?変態!郵政民営化?反対!

(3番)
 翌日朝イチ、再び電話をかけた/「昨日お電話した者ですが…」/「今担当の者がいないので夕方にまた電話くれます?」/おまえにゃ、負けた…
 いつなら居るんだ担当者、ホントに居るのか担当者/ただ単に残業が、したくないだけじゃないのか、このマハポーシャ/やる気が絶えて、よく頑張った、感動したっ/やる気が絶えて、よく頑張った、勘当したい
 俺の地元の特定郵便局、最高だぜ!(死ね)/郵政民営化?とんでもない!/民営化しちゃったら、あの郵便局で働いている/仕事が死ぬほど出来ないデブはどうなるんだろう?
 あんなに仕事が出来ないやつ、見た事ない/おそらくコンビニバイトも出来やしない/郵便局が民営化した未来/ヤツは、野垂れ死ぬに違いないみたい

(* フック)
 郵政民営化?反対!(なわけねぇだろ!)
 郵政民営化?反対!(なわけねぇだろ!)
 夢精人生か?変態!(毎日ヌイてるから夢精なんてしねぇよ!)
 郵政民営化?反対!(なわけねぇだろ!アホか!)

(4番)
 魔女の宅急便、超愛してる!(特にキキを)/クロネコヤマト、救ってくれ(俺の危機を)/届けてくれ、俺のカニを(蟹江敬三)/──電話したら三十分以内に駆けつけてくれたよ
 それに引き替え、デブ!デブ!/クソ局長と馬鹿長男のランデブー/民営化で競争社会にデビュー/したら瞬時にてめぇらDeath
 どこの世界に釣り札を/六回も数えるヤツがいるよ?(あ、ここにイター)/郵政民営化なんて別に興味ないけど/おまえが死んでくれるのなら俺は賛成するぞ
 俺はジーブリーTHE三鷹パズラー/なんだか気持ちがめちゃ高まるなー/総選挙、早くしろー/そういやまだ見てないな、ハウルの動く城ー
 おしめぇだ、ボケッ!

【カメラ】以上のパフォーマンスはMCジーブリーこと高峯丸夫さんの主張であり、当BNSラジオは一切制作に携わっておりません。


(CM)
 ブライアンメイが自ら作り出したカスタムギターの最高峰、レッドスペシャル──その粗悪版がついに登場。ティッシュ箱で作ったボディーに段ボール紙で作ったネック。弦はもちろん輪ゴム。いい。よくわからないけど、いい。音楽をやらない私には新鮮な驚きと快感・ほんのりとした酸味とそこはかとない食感が絶妙のハーモニーを奏でて胸に迫ってきたので居ても立っても勃てられないのであります(インポッシブル)。
 音楽やったことない人にとってはナンノコッチャなゴミクズかも知れませんが、「チンコッチャ」なんて放送禁止用語は言わず、黙って買って下さいよこのオタンコナス。……って、近所の小学生が言ってましたよ?(責任転嫁)
 レッドスペシャル粗悪版。全国のコンビニで販売開始。



【カメラ】新番組・カメラトーク+。スタジオにラッパーのMCジーブリーさんをお招きしてるよ。
【ジーブリー】新曲どうだった?遠慮のないトコ言ってくれYO!
【カメラ】じゃあ遠慮なく。
 自分よがりで具体性に乏しい歌詞。独善的で何の建設性もない。根拠の無い自信と自分一番主義。きみたちラッパーの脳足りんぶりには吐き気がするね。
 むやみに攻撃的な歌詞。使い古されている表現方法。アウトロー気取ってるわりにはかなり凡俗的。おまえ昔、いじめられっ子だったろ?
 初期の啓蒙「韻を踏まねばラップではない」がいまだに悪影響を及ぼしている。言葉探しに困った時は倒置法。変な所でリリックが切れる。ギャングスタラップなんて今日び流行らねんだよ。おまえらが「セルアウト」と称した商業ラップの方がよっぽどマシだバーカ。
 ちゃんと言葉を錬磨してる?じっくりコトコト言葉を煮詰めてる?言いっ放しじゃないの?なんでそんな下らないラップしか作れないの?ウンウン悩んで、アーでもないコーでもないと言葉を慎重に選んでる?選んでるって!?あーそうなの…。センス無いわ。やめちまいな。
【ジーブリー】(ショックのあまり卒倒。側頭部を床にしこたま打ち付ける)イテテ…。あいかわらずの、切れ味するどい、シ、シニカル批評、あ、ありがとうごごございまゴフッ!(吐血)
【カメラ】「キレるのは若者の特権」と教育されたので切れ味するどく頑張ってみた。しかしじゃっかんシャープすぎたらしくあんたの心を傷だらけにしてしまったのは憾みの残る所だ。次回からは肌荒れを招かぬよう横滑り防止ガードを装着しようと思う。ゴメンゴメン、ちょっと言い過ぎたね。俺はラップを音楽としてではなくむしろ文学として聴いている。だから、メッセージ性の無いのはニガテなんだわ。それだけだね、きっとそれだけ…。君には才能がある、あるんだろう、悪いのは僕の耳…。
【ジーブリー】ちょっとショック大きすぎ…。口が聞けなくなった。──けれど口が聞けないのは当たり前。聞く器官は耳だし、口は話す器官だろ。そうだろ。だから、別に口が聞けなくなっても不安には成らなかった。てか逆に、口で音が聞けた方が心配だよ!
【カメラ】なに取り乱してんの。「くちがきけない」は正しくは「口が利けない」でーす。ダセェ。
【ジーブリー】ラッパー休業して充電期間に入ろっかな…。
【カメラ】充電期間?(おおげさな口調で)どうしたというのですか!?応援します。元気になって下さい。早く充電を終えて戻ってきて下さい。届けこの電磁波!はぁ~っ!
【ジーブリー】電磁波じゃ充電できねえよ。あ~あ、おまえのせいで元気なくなった!ヒドイ!傷ついたぁ!自信喪失したぁ!(泣)
【カメラ】あちきの影響ですかえ?洗脳?だとしたら、ジーブリーさんの脳内をビックリおもしろ中性洗剤で洗浄してしまったという事か。なんか罪悪感が…。
【ジーブリー】なんだよビックリおもしろ中性洗剤って。まあいいよ、「俺、不死鳥!俺、最高!」そう自分に言い聞かせる事でなんとか立ち直ったから。──第三者的に自分のグラスハートを精神分析学にのっとって解剖してみたところ心臓に毛が生えてた。毛抜きで抜いておいた。痛そうだった。が、ちょっと気持ち良さそうだった☆
【カメラ】別に問題なさそうだな、心配したフリして損した。お別れの時が近づいてきたからチャチャッとまとめに入る事にする。あるロック雑誌のインタビュー記事、今からこれを朗読するぞ。三流ラッパーめ、いちいちこの俺様に楯突きやがって。マスコミの恐ろしさを思い知るがいい。
【ジーブリー】んー?
 
(絢爛豪華な分厚いアレンジが施された、飾りっ気の無いシンプルな曲調。バラエティー豊かな楽曲群はアルバムを統一感のある仕上がりにしている。デビューからの勢いそのままにベテランとしての落ち着いた風格を備えたヘチャムクレによる、完成度の高い傑作だ。間違いなく今世紀最高のアルバムの一枚となるだろう。まだまだ成長途上にあるヘチャムクレの更なる飛躍に期待が持てる佳作。)
 先日セカンドアルバム『弱った魚は目ェ見りゃわかる』をリリースしたヘチャムクレのリーダー嘉藤さんにお越し頂きました。まず、このアルバムの特徴を教えて下さい。
「七十年代のロックが基調となっている(興味ないから略)」
 四曲目はリコーダーの音色が印象的ですが、嘉藤さんは放課後誰もいない教室で好きな女子の縦笛をなめなめする縦笛テイスティングはやっぱりしましたか。
「インタビューなんてものはキライだ!」
 どうしてですか。
「てめえら編集者のいいように発言を差し替えられ、普段使ってないような言葉を喋らせられる…。てめえらのテープ起こしのセンスはサイテーだぜ!どうせこのインタビューも歪曲されて掲載されんだろ!?」
 そうでしょうか。
「なんだその口の聞き方は!ヤクザみてーな口調で。なめてんだろ、オイ!」
 めっそうもございません。あなたは何か勘違いしてる。
「ゲストに『おまえ』なんて言うインタビュアーがどこにいるよ。失礼もいいとこだ」
 ここにおります。
「とにかくだな。勝手に変なキャラクターにするんじゃねえ。俺はよ、一人称に俺なんて使わねえんだよ。覚えとけタコ!変えたりすんなよ」
 かしこまりました。
「それとだな、発言の前後を省略して、幼児虐待が趣味!」
(省略させて頂きました。本当は、「前後の流れを省略して発言の一部だけを取り出し、まるで別の解釈になるよう操作するのはやめろ。『幼児虐待が趣味』と『幼児虐待が趣味の連中を決して許す事が出来ない』とではまるっきり意味が正反対だからな」とおっしゃりたかったんですよね)
「変えるなよ!」
 変えません。
「こないだもよぉ、おたくじゃねぇ、他の雑誌のインタビューでもよ…」
 お待ち下さい。オタクはお好きですか。
「ああ。おたくには世話になってる。おたくは俺の発言をおかしな文章に変換しないと信じてる」
 そうですか。あなたはもっとさわやかなイメージの人だと思っていましたが。
「でよ。他の雑誌のインタビューでよ、なんか変えられてんのよ。ていねいに喋ったつもりなのに、妙に頭の悪そうなキャラに!だってひどいぜ。たとえば『俺たちゃ無敵のロケンローラーだぜ!』っていう発言が『俺たちゃ無敵のロケンローラーだぜ!』って置き換えられてるんだぜベイベー。侮辱もいいとこだよな!」
 面白いので我が編集部でも変更しておきました。本日はありがとうございました。
「センキュー!」

【カメラ】どうです。メディアって怖いでしょ?
【ジーブリー】じゃあもっと好感度上がるような批評してくれよ。俺スペシャルゲストなんだから。
【カメラ】(流して)見るからに頭の悪そうなバンドです。
【ジーブリー】この人と会った事あるよ。
【カメラ】マジ?どうだった。やっぱりアホづらだった?
【ジーブリー】いや、こんな荒っぽい性格じゃなかったけどな。礼儀正しい好青年だったよ。
【カメラ】どうせその時は猫かぶってたんだろ。メディアに報道された姿こそ、芸能人の真の姿だぜ。この記事を書いたヤツは優秀なインタビュアーだ。
【ジーブリー】本当か?真偽のほどはオレにはわからねー。確かめられねーからなんか腹立つぜー!
【カメラ】いわば当該インタビュアーは生物学的命題をパウダーのようにまぶす事で、批評に含有された変態性を巧みに隠蔽し、隠蔽しているかのように思わせて実はそのパウダーが金粉だったりして、やっぱり変態。非の打ち所がある素晴らしい批評ですね。氏一流の縦笛美学もいちいち首肯せずには置けぬ説得力に満ち溢れ、もはや前衛芸術と呼称しても過言無き「縦笛テイスティング」なる進歩的行為の提示と、フロイト流精神分析の応用による排泄物崇拝が我々の魂を揺さぶるのである。「変態性を変態性で覆い隠してもやっぱり変態だった」という、大和文化「恥の概念」に準拠しながらも西欧的直截さが現出するというパラドクス。その中で化合する変態性排除と変態性謳歌は相互に弁証し、作品への賛美と共にオリジナルを超越した変態性を横溢させている。
【ジブラー】パパー。コレ、なにが書いてあるのー?
【カメラ】さあね。パパにもわからないや。ヘドが出るぜ!俺は心理学の先生じゃねーからわかんねー!テキトーに哲学めいたことを並べといたYO!くわしく知りたければ辞書でも引けヤ!
【ジーブラー】今日はありがとう。また呼んでね。
【カメラ】うるせー。もうすぐ二十二時。放送終了時間だ。第一回放送からグデグデ!じゃあなクソども!クソして寝ロ!クソがクソする…。超スカトロプレイだコラァ!あばよ!!

(おわび:番組中に不適切な表現があったことを慎んでお詫びいたします。責任者はリンチにて制裁いたします。どうぞご容赦下さい)


«  | ホーム |  »