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    大塚晩霜
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    昼寝担当。



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BNSラジオ 16:00~17:00   (2009/05/01)
Ver.1.00【41枚】
DJケムリあふたぬ~ん:よいこのための起業術③
(ケムリ復帰/ライオン逮捕/面接の極意)
/キャンパスライフ体験談

【クイックリンク】
ケムリ復帰/ライオン逮捕
面接の極意(
キャンパスライフ体験談





 どーもどーもiモード。タダイラマ。ほぼ一時間ぶり、放送業界に舞い戻ってまいりました達郎。おひさしブリトニー。みなさん元気でアシタカ?ボクはちょっと疲れてマス大山。なので粗相がアルカポネないかモネ。山崎さん代理放送ありカトちゃん嬉シムけん。ごちそウサマ!じゃあ、おカダマすみなさい…と、寝てる場合ではない。
 よくよく考えてみたら私は被害者としても証人としても加害者としても警察署に出頭した事がある…。マルチタレント!DJえーとケムリです。大人げない、だい人気じゃない、でもオトナ毛はある、DJケムリです。はずかしながら生きて帰ってまいりました。生まれてきてすんません!(泣)
 すみませんすいませんごめんなさい謝りますアイムソーリー海部総理ー謝々。突然の蒸発でお騒がせしておりますオヤツ時いかがお過ごし?続きます…続くのです。ほんの出来心からタバコを吸いに出かけたんです。それが、こんな大惨事になるなんて…。社員は悪くありません!あいつが悪いんです!年金制度が悪いんです!世間の病理が悪いんです!わあああ!しかって下さい。やさしくいぢめて下さい!株がドータラとか難しい話キライで!
 申し訳ございます。謙譲無しで書けば、「言い訳あります」。あるのです、言い訳。あのですね、ちょっとですね、電車が遅れまして…。(何そのヒドい言い訳?)
 本当におさわがせしました。ただ、幸いにも「おさわりぬがせました」じゃなかったので笑って許していただきたく思います(無理な相談です)。大変申し訳なく感じております。反省の気持ちで胸はいっぱいおっ○い、いなかもおっ○い、いえ、おなかもいっぱいです。○の中には「き」が入ります。
 決して「ああっ!ディスクジョッキーなんて!DJ続けるなんて!もうやってらんないランナウェイ!」と狂気の沙汰に陥ったわけではございませんし、「ベンツのエンブレムを折って遊んでいた所、運悪く持ち主が帰ってきてバッタリこんにちは。その人、なんと極道様…!ご苦労様♪」なわけではございませんし、「樹海に消えます」「ママの顔なんか、もう見たくない!」「こんな部活、やめてやるぅ!」「ぼんやりとした不安」「しばらく旅に出ます。探さないで下さい」「都内で自爆テロ…!」「モーダメニナッテシマッタ」「いつかまたどこかでお会いしましょう」なんておシリアスな場面ではございません。
 徴兵されておりました。正確には体験入隊なのですが、軍で訓練を受けておりました。大変でした。何が大変って便所にウォッシュレットがないんですよ?戦時中じゃあるまいし、二十一世紀ですよ?全自動で便座交換・温風乾燥までしてくれる時代に、ただの便器ですよ?育ちのいいボクには苛酷な環境でした。
 訓練は本格的でした。実戦に即した物でした。新入隊員は各自の得意分野に配属され、即戦力ルーキーが求められました。レスリングのチャンピオンはエリート軍人として磨き上げられ、コンピューター工学を専攻する学生はレーダー技師になりました。趣味はのぞきと盗撮ってヤツは敵地最前線で諜報活動に従事し、相撲部を三日でやめた田中は潜水艦を安定させる重しになりました。
 ボク?ボクは紅茶係に拝命されました。毎日三時のティータイムには、各部隊にお茶を運びます。こぼさないように気をつけなければいけませんし、お茶うけのお菓子も飽きられないよう毎日いろいろ考えて用意します。
 ある日、女王印の煮豆を用意したところ「紅茶と合わない。もういい」と鬼教官から見放されしかもナイスタイミングで風邪を引いた結果「おうちでラジオでも放送してるように」と命令され「イエッサー」除隊され、おかげで今こうしてみなさまと感動の再会を果たせたというわけです。
 みんなお待たせ!戻ってきたよ!ボクは、ボクというエンジェル・みんなのアイドル堕天使ケムリは、みんな、そう、ボクの下僕のみんな、みんなの前に戻ってきたよ!
 いてっ。
(スタッフからの「ウソつけ」という怒号の嵐とともに空き缶や生卵を四方八方から投げつけられる音)
 なんだよこりゃあ?おひねり、ってやつかぁ?こんなもんで俺が喜ぶとでも思ってんの?バッカじゃねーの!ほんと救いようねーな!ゼニを寄こせよ、ゼニを!
(単二乾電池や石が投げつけられる音)
 な…!なんだよ、あぶねーじゃねーか!しかも、単二て!使う機会あんまネーヨ!いてっ、いてーよ。石投げるのやめろ。やめろってば。多少ムッとしても、石は投げないでほしい。卵も投げないでほしい。背負い投げないでほしい。彼女がほしい。誰か、友だちからスタートしませんか?ぜひに!
(飛び交うゴミ・爆竹・罵声・野次・喜多)
 いや、ごめんなさい。あすいませんわかりました。イタイたいタイたい!ごめんなさいすみませんやめ、やめて!キモチイイ!
 コホン…。
 えー、本当はちょっと騒動に巻き込まれておりました。さて、ここで問題。私が放送そっちのけで消えた本当の理由は何でしょうか。サボッていたわけじゃありませんよ。ヒントは「警察」です。
 ①警察沙汰
 ②警察ファンの集いで忙しかった
 ③ポリス関連グッズを買い集めるのに必死だった
 ④色々買い集めたが、制帽がレアでなかなか手に入らなかった
 ⑤一儲けしようと企んで売る側に回り、ショップをひらいた
 ⑥ショップではイボ付き警棒が一番人気
 ⑦非番の巡査とブタ箱にて一夜限りの恋愛関係
 ⑧そして<検閲削除>
 ⑨ホワイトレゲエバンド「POLICE」を聴き込んでいた
 ⑩バーで出会った警視総監と<検閲削除>
 ⑪忠勤とは駐車禁止の略なのか。斬新!
 ⑫<検閲削除>
 ⑬けいさつ→ K32→ にろて(ギャル文字)→ ニロテ→ (空欄を埋めよ)→ニガテ→ 苦手→ 手が苦かった(汚れていた)
 ⑭DJライオンの件で事情聴取
 ⑭DJライオンの件で事情聴取
 ⑭DJライオンの件で事情聴取
 正解はCMのあとで!


(CM)
「なんだよまた業者の宣伝だよー。大事な場面でCMを差し挟むなんて。死ね!」
 みなさんはそんな思いをしたことがありませんか。あるでしょう。あるはずです。ボクはありませんけど。(裏切った!?)
「リスナーなんて糞食らえ。商業第一主義!これぞプロの手口。てぐち。テロじゃないよ」
 CM最高!スポンサー募集中!ハルを売らずにコビを売る、BNSラジオ!



 CM前のクイズに対して何通かファックスが届きました。解答をお寄せ下さったみなさん、ありがとう。でも別に正解したからって何ももらえません。
 正解は⑭です。BNSラジオ十時から十二時の番組「DJライオン電波電話部」を担当しているDJライオンこと高嶋三郎太が、番組内で国家権力に対して不適切な発言をしたカドにより、左曲署のおまわりさんに連行されていくことになりました。なかなかエキサイティングな逮捕劇でしてねぇ。ボクもそのゴタゴタに巻き込まれました。だからボクは、一時的にラジオ界から足を洗ったのだ!あらいぐまラスカル!オスカル命!千の技を持つ男マスカラス!
 その時の様子を盗み録りして来ましたのでお聴き下さい。なお、録音環境により多少お聞き苦しい点がございます。あらかじめご了承ください。
「──これ、マイク入ってるんだろうか。あーあー。マイクテストマイクテスト。どうも入ってる。お、ケムリちゃんじゃないか──ああライオンさん──何してんの。君今生放送中じゃだろ──うん──うんじゃないよ。なんで喫煙室で一服してんだよ──今ちょうどシロートが出演して勝手にしゃべってるんです──トーク番組だよね。相手しなくていいのかい──台本では質疑応答をすることになってますけどね──いいかげんだなぁ──しゃべり終わる頃にはコレ吸い終えて戻りますよ──ちょっと失礼──ああん?誰だてめえ──こういう者だが──あ、ようこそお越し下さいました──君がDJライオン?──違います──じゃあ君かな──いいえ。ボクはDJケムリです。こっちがDJライオン本名高嶋三郎太です──て、てめぇ…!──どうして「違います」なんてウソ言ったのかな──いいえおまわりさん。私はDJライオンではありません──いえいえおまわりさん。こいつが本物のDJライオンです──て、てめえ…!てめえこそDJライオンだろ──ボクはDJケムリですが?──おいおいこんな些細な問題で仲間割れなんてしないでくれよ。DJライオンが誰だか知りたいだけなんだから──だから、こいつがDJライオンです──こいつがDJライオンです──こいつです──こいつです──君たち落ち着きなさい。別にDJライオンって人を悪いようにしようってわけじゃないんだよ──そうなんですか──ではどういったご用件で──本官に対して「拳銃を撃たない警官は税金泥棒だ。どんどん発砲しろ」って生意気言ってたからさ、ちょっくら撃ってご覧に入れようかと──こいつです!──こいつです!──どっちだよもう。こっちはウズウズしてんだ。早く結論を出してくれ──こいつです!──ああてめえ、むかつく野郎だ──そっちこそまんまと裏切りやがって──おまわりさん。どっちがDJライオンか証明することは難しいかも知れません──何言ってんだ。そっちがDJライオンだろうが──しかし、これだけは言えます。この人はDJケムリではありません──な…!──このラジオ欄をご覧下さい。今の時間帯、我がBNSラジオでは何を放送しているでしょうか──ん?ちょうど十五時ごろだから──はめられた…!──『DJケムリあふたぬ~ん』が放送中です。DJケムリというパーソナリティーがお相手を務める生放送番組です──おまわりさん、ちょっ、ちょっと──君は黙ってて──生放送番組に出演中のDJケムリが、どうしてこの喫煙室にいるものでしょうか。彼はウソをついています──ただ単に休憩中なだけだよ!──試しにこのラジオで聴いてみましょう──ガガ……ピー……ジオってのは厳密な時間進行で放送されているんですね。CM入ってるのに気づかずベラベラしゃべ……ガガ──ね。今しゃべってたのが正真正銘のDJケムリ。こっちはニセモノ──DJライオン。貴様を連行する──ご、誤解です。誤解です!」
 以上のような理由から、DJライオンは無事にしょっぴかれていきました。それもこれも、すべて彼の軽率な発言が引き起こした人災であります。BNSラジオでは特別な準備をせず思い付くままに気楽なライブを繰り広げておりますので、こういった放送事故はままあります。ママー、アリガトー。
 DJライオン、人目を惹く客寄せパンダとしての大活躍、おつかれさまでした。安らかに眠ってね。
 短い間でしたがあいつをご愛顧いただき誠にありがとうございました。これからはもっと人に優しく環境に優しくないDJを起用しますので今後ともよろしくお願い申し上げます。めでたしめでたしおめでたし。


(CM)
 BNSラジオのスタッフは、リスナーのみなさまに対して、いつもこう思っている──大事な場面でCMを差し挟むと、大事な大事なリスナーに迷惑が掛かる、と…。
 と、思いきや!あ、思いきやー!(手法:リフレイン=強調効果)
 それはボクらの寛容さがおちゃめな同情をちょび催すだけで、本心はこう思ってます。
「お客様は神様なんかじゃない。スポンサー様々こそが唯一絶対の神様だ」
 CM最高!スポンサー募集中!悪魔にさえ魂を売る、BNSラジオ!



 リスナーのみなさまには本当にご迷惑をお掛けしました。ごめんね。ってなわけで形ばかりの謝罪会見もそこそこに、そろそろ放送を再開しましょう。本日のDJケムリあふたぬ~んはよいこのための起業術を特集していましたが、どこまで話したか忘れたので今さら起業の話題で放送終了時間まで引っ張るのは苦痛。やりたくね~な~。愉快なミュージックでも流してお茶を濁しますか。え、だめ?放送台本通りにトークを進めろってか。関係者が一人逮捕されてるんだから、そんなしゃっちょこばったこと言ってる場合じゃないと思うけどなあブツブツ…。
 放送台本によると、経営が軌道に乗ってからのアドバイス、主に「興信所の買収」「寄らば大樹の陰~吸収合併」について話すみたいです。そうすっとボク的にはヒジョーに困るのですが、虎穴に入らずんば虎児を得ず、おけつに入れずんばイボ痔を得ず、「下見なし・ぶっつけ本番・スタントマンは使いません!」の精神で果敢に挑みます。たとえどんな悲しい結末が待ち構えていようと、ボクは逃げはしない!!
 しかしボクのモチベーションが下がる…気取って言い直すならば「マイ・モティマスタヴェーシャン・イズ・サ・ガール」そんなおそれがありますが、極力そういう事がないよう頑張ります。極めてマジメな学級委員長的演説になると思います。マジメガネ。
 じゃあ興信所の買収から説明していきますか。興信所って何だかよくわからないけど……ん?
「失礼します」
 わ。なに。なに突然。ビックリした。どちら様ですか。警察の人?警察ならお断りですよ。DJライオンはもう引き渡しましたよ。
「いえ。御社の入社面接試験を受けに参りました。通称蔵川と申します」
 なんだよ驚かせるなよ…。ていうかさ、面接受けるのに生放送中のブースにずかずか入ってくるバカがどこにいるよ。
「?」
 ここにいたな。よろしい。渡りに舟だ。DJケムリあふたぬ~ん・よいこのための起業術、残念ですが予定を変更し、アルバイト面接の極意を伝授します。ラジオの前の人事担当予備軍諸君、耳の穴かっぽじって聴くように。それでは面接を始めます。
「はい?よろしくお願いします」
 まず、あなたのお名前をお聞かせ下さい。
「はい。蔵川梵造蠣です。年齢は二十二歳です。本日はよろしくお願いします」
 面接の極意その一。とことん威圧しましょう。相手より上に立つのが面接を優位に進めるコツです。ゆえに模範回答は以下の通り。──私は単に、「お名前をお聞かせ下さい」と言ったんですが。あなたの名前は「はい蔵川梵造蠣です年齢は二十二歳です本日はよろしくお願いします」さんでよろしいですか~?
「そうですけど」
 え…。マジで?
「ええ。私の名前ははい蔵川梵造蠣です年齢は二十二歳です本日はよろしくお願いしますです。こちらが証拠の履歴書です。よくピカソ並に長い名前だと言われます」
 マジかよ?そんなマジカル名前、マジ存在するのっていうかー、マジゴイスっていうかー、チョーMK5?マジキレ五秒前?マジで恋する五秒前?松井清原後藤?「本気」と書いて“モトキ”と読む??
 ステキすぎるお名前ですね。ステキおすぎ(いつもよりおめかししてみました)。忘れ得ぬご芳名でございます。インプットしました。愛のメモリー!
 !警告!──ディスク残量が30KBしかありません。不要なファイルを削除し、空き領域を広げて下さい──やむなく忘れました。
「蔵川、とだけ呼んでいただければ」
 そうですか助かります。蔵川さんは今おいくつですか。二十二歳?
「五十三歳です」
 面接の極意その二。うろたえない。どんな予想外の展開が待ち受けていても慌てふためいてはいけません。こちらは面接官、相手より格上、決してなめられてはいけません。泰然自若として鷹揚に構え、自分からも不意打ちをカマしてやります。精神的に持ち応えられないようなら話題を変えます。ゆえに模範回答は以下の通り。──意外と着痩せするタイプなんですね。
「よく言われます」
 こりゃ手強いな…。一旦休憩しましょう。
「ペケ&わーい!」
 手強いっ。


(CM)
 BNSラジオを聴いている変態小学生のみんな、こんにちは!夏休みが始まりますよ夏になれば。Summer Vacation(すっめーバカチョン)、略してバカ、バカの始まりです。さぁ、レッツバカ。
 自由課題は何にしたのかな?え、「スカートめくりの実践とその物理学的考察」だってぇ?やめておきな、捕まっちゃうよ。
 もっと有意義な宿題を提出するといいと思います。たとえば、工作をするとか。図画工作。図工だよズコー。「工作」の二字を崩すと「エイケニ」になるから、並べ替えて「イケニエ 」の研究をするのもいいかも知れませんね。
 いずれにせよ、充実したバカを過ごしてほしいと先生は思っています。『図工にぞっこんL・O・V・E』を刊行中、傷風社からのお知らせでした。



 DJケムリあふたぬ~ん・よいこのための起業術。ゲストに蔵川さんをお招きし、面接の極意についてお送りしています。蔵川さん、よろしくお願いします。
「え?」
 よろしくお願いします。
「あ。よろしくお願いします。すみません弁当食べてました」
 いきなりだけど蔵川って呼び捨てにしていいですか。このままだとこっちの負けなので。
「いいですけど。負けってどういうことですか」
 あなたのキャラは強烈すぎる。対等の立場で面接を続けるのは不利だと判断しました。敬称を略していいですね。見下していいですね。
「敬称略については、なんだかとってもフレンドリー、他の受験者から『こいつら出来てるのか』と嫉まれるんじゃないかと思うとああもう辛抱たまらにゃい、かつ私のマゾヒズムが刺激されたので逆に嬉しく思いました。これからもよろしくお願い致します。私のMリビドーを満たして下さい。はあん」
 今日は過ごしやすい気温だなー。
「無視、ですか」
 そこは拾ってきますか。いちおう謝っておきます。それからさっき、年齢についてもスルーしちゃいましたゴメンナサイ故意ではないですコレって恋?ボクらの会話はとっても濃い!
「どすこーい」
 クソッ、計算なのか天然なのかすげー逸材が来たもんだ…。それではまず、志望動機をお聞かせ下さい。
「競争倍率が低そうだったからです」
 ストレートな回答ですね。つまり、競争社会からドロップアウトした、と。みんなが虎視眈々と狙っているマドンナよりも教室の片隅でコックリさんに興じているようなブスに愛を告白した、と。
「そうです」
 なるほど。弊社に入社したとして、何か成し遂げたい夢はありますか。会社に入ってこれやりたい、とか。
「会社の金を堂々と横領して、企業のトップから『ういやつじゃ』となでなでしてもらうのが夢です。が、自分の会社の資金を盗まれるなんて誰でもイヤでしょうしなでられるより殴られるのが関の山ですので、なるべくシャレのわかってくれそうな上司からエジキにしていこうと思っております」
 面接の極意その三。自分の利益を第一に考える。会社のためではなく、面接官の自分にとってプラスとなるかどうかだけを採用基準にします。将来自分の地位を脅かしそうな存在は今のうちに蹴落としておきましょう。後輩が自分を追い抜いて上司になるなんて我慢なりませんからあまりに優秀なアルバイトは不採用です。逆に、将来自分の役に立ちそうな存在は今のうちに飼い慣らしておきます。この蔵川さんは見どころがあるのでもう少し様子を見ます。


(CM)
「何が夏休みだコノヤロウ!こちとら週百時間労働、休みを満喫してるヒマなんてねぇんだよ!海や山どころか漫喫(マンガ喫茶)にも行けねえしマンキス(勲二等)も出来ねえよ!相手がいないから!(泣)」
 そんな、夏休みなんてオイラにゃ無関係だよーってオトナたち。何かカン違いしてらっしゃいませんか。甘い。甘いです。しっかり宿題はこなしていただきます。
 でも、ボクも鬼教師では無い(教員免許不所持)。いそがしいみなさん・金が無くて遠出できないみなさん・普段は忙しいんだけど休日は友だちがいなくてヒマなみなさん、そんなみなさんのために、とてもお勉強になる本を紹介します。
 『算数にぞっこんL(o・v・)e』傷風社から絶賛発売中!



 面接の極意その四。合コン乗り。得体の知れないヤツを相手にする時は、学歴や技術よりも人間面を重点的に掘り下げます。趣味や特技を根掘り葉掘り聞き出していきましょう。
 家族構成を教えて下さい。
「私、お父さん、お母さん、おばあちゃん(天国の)、私(第二人格)、妻(私の第四人格)の六人です。お父さんの顔は鼻クソに似ています。小憎らしいトコとかクリソツです──こにくらしい、こぞうらしいじゃないですよ。くりそつ、クリリンじゃないですよ」
 なるほど。イモヅル式にあなたのバックボーンを理解できた印象です。「あれ?蔵川、背中に糸くずがついてるよ?」引っ張ったら、脊髄からゾロリゾロリと親族のみなさんが登場、みたいな。
「あなたは軽いギャグのつもりなんでしょうが、大切な家族を妙にエグいスプラッターに仕立てられて気分が悪いです。父や母に謝れ!」
 (聞き流して)生い立ちを教えて下さい。
「私の幼年期ですが、壮絶だったので詳しく申し上げられません。橋の下で拾われたとか両親が半魚人とか、そんなことではありませんけど。小学校のころはヒットラーみたいな子でした。そしてエロかった。ヒットラーとエロで、引っ捕らえろ、なんてネ!」
 (聞き流して)トラさんとナイチンゲール、あなたはどちらに似ていますか?
「だっ、誰がナイチンゲールだよ!?チンあるよ!立派についてるよっ!バカにするないっ!俺はトラさんだよ!トラさんの方に似てるよ!──ところで、『トラさん』って何でしょうか。解読してみます。トラ→ タイガー→ 大河→ 泳げない→ およげ!たいやきくん→ タイヤ→ 車──ああ、車寅次郎のことだったんですね」
 (聞き流して)身体は丈夫な方ですか。
「体脂肪率が低すぎます。頭蓋骨の中まで筋肉で構成されてます。そのわりにはモヤシっ子です。大いなる矛盾を感じる所ですが、『脳みそは筋肉だけど身体はガリガリ』とでも解釈しておけば間違いなかろうかと思います」
 (聞き流して)趣味を教えて下さい。
「自宅に迷い込んだカエルを一匹残らず池に放逐することです」
 優しい優しい蔵川は、「カエルが帰る」っていうダジャレをボクに言わせたいのかな。それはあまりにも苛酷な試練ですので今回は見合わせていただきます。しかし変わった趣味ですね。動物はお好きですか。
「犬を飼っています」
 ワンちゃん飼ってらっしゃるんですか。奇遇ですね、ボクは小エビを飼っています。あと、脳内にウジ虫が湧いております。彼らはよくケンカします。困ります(笑)。
「それは困りますね」
 (聞き流して)好きな食べ物は?
「当方、甘い物は好きですし辛い物も好きです。SもMもイケます。苦手なのは寒中水泳くらい!」
 (聞き流して)好きなタイプは?
「癒し系の女性が好きです。あなたのような」
 ボクを女性と間違えるあたりがハイセンス、ハイリスク&ハイリターンです。あのね…。ずっと黙ってた事があるの…。いいえ、隠してたわけじゃないの!驚かないで聴いて。「癒し系の女性が好き」とおっしゃっていただいたけど、あたい、実は、男なのら…。
「知ってたよバーカ。おまえの寝言にはいいかげんゲンナリだよ!」
 こいつはやっぱり、むかつく野郎かも知れない。ボクの勘は当たります。外れる事の方が多いですが、当たることもあります。不採用の方向で丁重にお断りするとしますか。
「そのひとりごと丸聞こえですよ!無礼はお詫びします。BNSラジオの入社面接だから、ちょっと破天荒な方が印象いいのかなと思って…。それでわざと失礼な口を聞いたんです。それほどまでに入社したいのです。私の家は裕福です。採用して下さったあかつきにはあなたに百万円お支払い致します。お願いします!」
 なになに、なるほど、もし採用すればワイロを下さるんですね?ほほぅ!よーっし、ここは蔵川を信じて、今回はご縁がなかったということで…。
「言ってることメチャクチャだ!?」
 へへへ…。ボク、期待されると裏切らずにはいられない良い性格をしているのです。一旦CM!


(CM)
 傷風社から絶賛発売中の『科学にぞっこんエロ・V・E』には、愉快な実験が盛りだくさん。どんな実験していいかわからない創造力にとぼしい小僧のために、専門家の先生が代わりに実験の数々を考えてくれたぞ。夏休みの宿題はこっからパクろ☆
(掲載例:道行くパンチパーマの人に「おまえどこの組や」と質問。何人目で「三年B組です」と答えるパンチくんに出会えるのか検証)
 おもしろい実験結果が出たら、ぜひ報告して下さいね。警察に。



 DJケムリあふたぬ~ん・よいこのための起業術。ランジェリー製造販売会社「ぶしキチ」をモデルケースに、面接の極意を伝授中です。
「え。ぶしキチ?」
 そうだよ。BNSラジオに入社とか、さっきから何の話?架空ランジェリー会社の架空面接会場ですよ、ここは。ぬはははは勝った!出し抜いてやった!
「BNSラジオの採用面接じゃなかったんですか…。ぶしキチ…」
 当たり前だろうが。ラジオ番組の生放送中に面接なんかするかよ。これは面接試験のデモンストレーション企画なの。面接ってのはこうやるんですよ、っていうお芝居なの。そこに君はエキストラとしてご出演していただいてたってわけ。つまり番組の良い実験台として利用されていたってわけ。ふふふバカめ引っかかったな!
「入れるならそこでもいいです」
 バカはオレだ…。
 というかですね、あなたの壊れっぷりはですね、片腹痛しなのです(*誤用。御用ダ御用ダ)。腹のよじれる思い、どう責任を取って下さるのですか。
「結婚しましょうか」
 え…。(赤面)
「じゃあ結婚しましょう」
 結婚?ホントに?ホントにホント?す、る…?
「お断りだ」
 畜生っ!しかし貴様は逸材だな。このまま死なすには惜しい人材だ。確か午後八時半からの番組「クイズ姉折り目」でプロデューサーを募集してたと思うから、そっちに応募したら?推薦しておくよ。
「本当ですか」
 うん。これは本当。これ以上おまえと関わりたくはないけど、ボクのあずかり知らないところで活躍する分には別に問題ないからね。あの番組でおまえが何をしようが、あの番組がどんなヒドイ事態に陥ろうが、どうせボクには影響無いから。
「ありがとうございます。ぜひお願いします。あの番組大好きなんです」
 あ、でも年齢制限があった気がするな。失礼ですけど、おいくつでしたっけ?
「五十三です」
 あ~残念、募集要項に「二十歳以上四十歳未満。もしくは松井の背番号(55)と同じ年齢の人大歓迎」って書いてある。実に二つちがい。ニアミスです。たとえるなら…あと二回クジを引いていればハワイ旅行だった。あと二ミリ上だったらホームランだった。あと二度高ければ学校を休めた。あと二秒遅ければガレキの下敷きになっていた。そんな感じ。残念。
「五十五歳です」
 あ。そうですか。それほどまでになりふり構わないと。
「はい。必要とあらば性転換手術も辞しません」
 じゃあ推薦状書いておきますよ。ドえらい新人発掘したってね。万事ボクに任せて下さい。蔵川は面接会場に突如として出現するだけでいいよ。
「おお…これほど嬉しい事はありません。嬉しすぎて失禁してしまいそうです。ちょっとトイレに行ってきます…」
 (濡れたズボンを冷ややかな目で見つめながら)おしっこはガマンすると膀胱炎を引き起こします。どうぞ思うぞんぶん失禁してきて下さい。無理はキン持つです。
「それではちょっくらお小水かましてきます。やっぱりBNSラジオはステキなラジオだなあ!またいつの日かどこかで出会える事を期待しております。本当に、本当にありがとうございました」(退出)
 ヤです。さようなら。このラジオは別にステキじゃないですし、むしろ悲惨ですし、上場廃止ですし、さようなら。


(CM)
 傷風社からのお知らせです。
 世間は夏休みではありませんが、世間の道から外れた元学生たちはまだまだ夏を満喫しています。冬になっても。永遠の夏休み。宿題やったかー?歯ァみがけよー。
 私は学生じゃないので彼らがうらやましったらアリャしな…いや、ヒマを持て余すのでうらやましくねえや。頑張って、ヒマを駆除せよ大学イモ(心の俳句)。
 学生のみなさん。休み明けは学校に行くのが億劫でしょうが、おめーらは勉強するのが義務なのですからちゃんと登校するように。睡眠学習で構わないから、教室にいるんだよ?
 傷風社からのお知らせでした。『家庭科にぞっこんL・O・V・E』発売中。



 疲れました。人生に。今日はもう、いい日旅立ち、夢の国に里帰りします。十七時からは、交通情報のあと、こども電話相談室です。それまでの余った時間はキャンパスライフ体験談。自称現役大学生の尾上くんが自身の大学生活を赤裸々に語ります。尾上くんは短大生ではありません。立派な大学生です。
 大学生と短大生の違いがわからない人のためにちょっと説明すると、大学生と短大生とでは、まず、字が違います。「大きく学んで生きる」大学生に対し、短大生は「短く大きく生まれる」のです。とは言っても一本グソのような物ではございませんよ?太く短く生きる、プロレスラー橋本信也のような存在だと思ってもらえれば間違いありませんいや間違ってる。
 それじゃ現地の尾上くん、ボクはもうすぐ退勤時間なので定時で退社します。五時まで好き勝手に喋って場をつないでねヨロシク。(DJケムリ退社)
(以下、尾上)はい。おはようございます。ボクの今日一日の様子をリポートします。
 六時起床。美しい朝です。東の空が明けの赤紫に染まり、まぶしいくらいに輝き始めます。おてんとさま、おはよ!ちょっと肌寒さは感じますが、今日は良い天気になりそうです。
 いちおう述べておきますと、昨日寝たのは四時です。毎日規則正しく二時間睡眠。友だちからは「そんな睡眠時間でカラダ壊さない?」なんて心配されますが、不思議と、ぜんぜん眠くありません。なんか、寝てる時間がもったいなくて。眠ってると、人生をムダにしてるように思えちゃって!
 交響曲をBGMに、優雅な朝食の始まりです。ロココ調のテーブル。白く清潔なクロスを敷いたその上には、ガラスの花瓶に生けたマトリカリアを中央に据え、マトリカリアを取り囲むようにマイセンのお皿が並べられています。今日の朝食はバニラタイプのパンケーク(ホットケーキのこと)。そして、あったかいテー(紅茶のこと)。
「かあさん。今日はスペシャルファインティッピィ・ゴールデンフラワリーオレンジペコーだね」
「あら。メルシー(僕の源氏名)も味がわかるようになったのね」
「まあね」
 朝食をすませた僕は、ナプキンで口をぬぐい、「コムサ・デ・モード(ごちそうさま。フランス語)」と挨拶し、静かに席を立ちました。このイスはウェグナーなので三十万円します。
 隣室の応接間でシャンデリアを見上げながら食後の葉巻・ブラックパールグランロブストを吹かしたのち、僕は学校へ行く準備を始めました。今日は進級の掛かった大事な試験があるのです。歯を磨いたり、ヒゲを剃ったり、爪を切ったりしたのち、試験にふさわしい礼服を着用します。今日のネクタイはドルチェ&ガッバーナにするかな。
 こうして出かける用意が出来ると、僕は父母に「アイコノクラズム(いってきます。ドイツ語)」元気に敬礼し、牧村の運転するハイヤーに乗り込みました。牧村は僕の家の使用人です。
 試験会場へ向かう途中、モエちゃん・ユキちゃん・エリコちゃんの三人と会い、モエちゃんが抱きついてきました。
「なんだよ急に。驚くじゃない」
「だってぇ。メルシーに会えたんだもん」
「メルシーのためにこの授業取ったからね!」
「またまた~」
「ほんとだよ☆」
 僕たちは連れ立って階段教室に移動しました。
 肝心の試験は──超余裕でした!あんまり授業は出ていなかったけど、四次関数なんて中学生のころから解けました。楽勝。試験を無難にこなしたあとは学食で男友達とITベンチャーについて話しました。今僕らの会社では中高年層をターゲットにした新しいコンテンツを開発中で、その事業がいよいよ軌道に乗り始めているのです。来年度中には株式を公開できるかも知れません。四時まで企画会議に参加したのち、僕は途中で退席しました。
「じゃあなメルシー」
「マメだねー」
「大事にしてやんなよー」
 そう、最愛の彼女とデートの約束があるのです。待ち合わせは五時、新宿。買い物を楽しんで、おいしいイタリア料理を食べる予定です。僕は時計を取り出して時刻を確認しました。
 五時少し前。うす暗い。
 朝の五時なのか夜の五時なのかよくわからないけど、こうして布団の中でグズグズしてるうちに段々と窓の外の空気は闇を濃くしていくから、おそらく夜の五時なのでしょう。
 ……寝過ごした。
 長い間、夢を見ていた。幸せな夢だった。僕は子どもの頃からハイヤーで送り迎えされてて、成績優秀、モテモテ、友だちとITベンチャーについて話し、大事な彼女と五時に待ち合わせをしていた…
 今日は大事な試験の日だった。大学の、入学試験。試験の場面は夢の中にも出てきた。よっぽど気になってたのだろう。当たり前です、なんたって進学が掛かってるんです。昨晩は死ぬ気で勉強しましたよ。夜の四時まで、みっちりと。その猛勉強のタマモムか、いや、タマモノか、夢の中では楽勝でした。うん。
「アレ?なんだろうこの涙は…。」
 意味不明の涙がこぼれ落ちた時、僕の頭の中では「なんか、寝てる時間がもったいなくて。眠ってると、人生をムダにしてるように思えちゃって!」という言葉が、呪詛のごとく渦巻いておりました。。。
 もう一年、浪人生活です!四浪です!燃費の悪さなら十二時間睡眠のバカボンにも負けません!
 (開き直って)でも、たまにはいいじゃないですか。長い人生ですもの、ちょっとくらい同じ場所にとどまっても。そんな時期もあります。誰にだって。でもあせる必要はないのです。僕の好きな歌、聴いて下さい。
 (本人によるアカペラ)
 歩いていればいつか必ずたどりつく。
 立ち止まりさえしなければ。
 走って息切れしなければ。
 さあ、座り込まず、立ち上がろう。
 また、歩き始めよう。
 急がなくていいから。ゆっくり、ゆっくりと。
 なぜなら、人生は(番組の途中ですがここで屁が出ます)プーッ。


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