とりぶみ
実験小説の書評&実践
【書評】筒井康隆『虚人たち』   (2014/11/30)
虚人たち (中公文庫)虚人たち (中公文庫)
(1998/02)
筒井 康隆

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 前回は筒井康隆『残像に口紅を』を取り上げました。その第1章で、評論家・津田が、主人公の作家・佐治にこう語ります。
「『小説を批評する小説』という意味で君がメタフィクションということばを使ったのが、ぼくの知る限りじゃ、君がエッセイの直後に長篇を書いて、さらにその長篇について君が自分で解説していたNHKの『テレビコラム』でのことだったわけさ。だから君は汎虚構論よりも先に、虚構内存在、つまり自分が小説の中の登場人物だということを意識している人物としての虚構内存在というものに思い至ったんじゃないかい」
 作家・佐治勝夫のモデルは筒井康隆本人です。この、【エッセイの直後に書かれた長篇小説】こそが、取りも直さず今回書評する『虚人たち』です。
「えー。また筒井康隆ぁ?早く南米文学を書評してよー」
 うるせえ。我が家の蔵書は筒井康隆作品が一番多いんだよ。100冊くらいある。一作家一作品にしたかったけど、100冊あったら4作品くらい書評してもいいじゃない。許してよ。
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【書評】筒井康隆『残像に口紅を』   (2014/11/21)
残像に口紅を (中公文庫)残像に口紅を (中公文庫)
(1995/04)
筒井 康隆

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 前回の『猫舌三昧』書評の際に書き忘れましたが、柳瀬尚紀は筒井康隆から著書を贈呈されています(「真夏の夜の天狗」の回を参照)。
「もう一通、文が届く。筒井康隆『天狗の落し文』。着想全開の人の最新作。(略)一篇だけ紹介すると《画家たちの喧嘩》では、《「あやまれ。さモネえと」「おう。やってミレー」》と始って、《「よくもやっターナー」「ムンクあるか」》という具合に二十二人の画家が入り乱れる。」と紹介しておいて、柳瀬氏自らはオリジナルをも凌ぐ作家バージョンを披露します。

「とにかくダレル瞬間がちらりともない」「最上質の一桝漫画(ひトマスマンが)といおうか」「それをいうなら一こま漫画とイェーツの」「こういう作家例(サッカレー)は実に稀だ」「しかし人類の高貴な知恵屠(チエホフ)ってしまう危険も」「エーコというね」「でも資質が実にドライサー」「野球でいうならフィールディングが軽快」「確かにネクラーソフな人じゃない」「わかっトルストイっくな面もあるがね」「誉メロスごい人物だよ」「老若男女醜女別嬪(べっピン)チョンガーにもお薦めだ」「枕辺蹴っ飛(ベケット)ばされたような刺激が快い」「それにしても今夜はジッドり汗ばむ」

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【書評】柳瀬尚紀『猫舌三昧』『言の葉三昧』   (2014/11/07)
猫舌三昧猫舌三昧
(2002/09)
柳瀬 尚紀

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言の葉三昧言の葉三昧
(2003/10/17)
柳瀬 尚紀

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 ひさしぶりに書評でもするかぁ。前回の『猫』つながりで言えば『牡猫ムルの人生観』を取り上げるのが妥当だけど気が進まない……。『猫』から他作品へつながる回路が意外にも少なく、己の読書量の乏しさに愕然としてしまう。
 と、ここでハッと思い当たりました。猫と言えば柳瀬尚紀でしょうよ。柳瀬先生からは筒井康隆につながるし、筒井御大からは南米文学にも飛べる。すごい!ナイス!書評家としての寿命伸びた!
 というわけで今回の書評対象は柳瀬尚紀『猫舌三昧』『言の葉三昧』の2冊です。
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